「投資はやりたいんだけど、時間が無くって・・・」
多くのドクターから聞くセリフです。
医師は診療で忙しく、資産形成に時間を割くのが大変。
でも金や銀の貴金属は保有するだけなので、多忙なドクターに適した資産と言えます。

新NISAも始まっており、現物と同等と言われる金・銀上場投資信託(ETF)を保有している医師投資家も多いでしょう。
ETFは現物の金や銀より取扱いが容易で利便性が高く、多くのドクターに人気がある投資商品です。
ラインナップの中では現物の裏付けのある金・銀ETFが、信頼性から選ばれることが多いです。
例えば「純金上場信託(1540)」は、一定口数と現物の金に転換(交換)することも可能です。
ETF発行元は現物の金・銀を保管場所に預けてあるため転換が可能となっています。
現物と同等の価値を持ちながら、より扱いやすいのがETFのメリット。
しかし、本当に金・銀ETFは現物金・銀と同じなのでしょうか?
最近銀について、注目すべき話題が持ち上がっています。
現物銀の在庫減
ロンドンの市場で、現物銀の在庫が減少していると報告されました。
ロンドンは貴金属市場において重要なカストディ(保管預かり)の役割を果たしており、多くの銀現物が保管されています。
現物銀の在庫減少は、投資家にとって無視できない問題です。
ETFの裏付けとなる銀も、多くがロンドンにカストディされています。
在庫減少は銀ETFの信用に直接影響を与えるでしょう。
つまり、本当に十分量の銀が保管されているのか?
投資ポートフォリオに銀ETFを含む医師にとって注目すべき動向です。

銀ETF
金ETFに次ぐ人気の投資商品として、銀ETFは多くの医師投資家にとって魅力的な選択肢です。
中でも「iシェアーズ シルバー・トラスト(SLV)」は、その裏付けとされる銀現物によって高い信頼性が保たれています。
重要なのは、現物銀はETFを運営するブラックロック自体ではなく、別のカストディアンが保管しているという事実です。
カストディアンはロンドンに限らず、様々な場所に分散されていますが、
ロンドン在庫状況によってはETFの裏付けに疑問符がつく場合も。
本当に十分量の銀が保管されているのか?
現物銀と銀ETFの最近のチャートを見てみることで、具体的に解説していきましょう。

銀ETFと銀価格
以下は銀先物(青)とSLV(赤)を重ねたチャートです。銀先物=銀価格と考えてください。

キレイに一致していましたが、2024年12月頃からSLVが銀先物価格を下回るようになっています。
投資市場における警鐘とも取れる重要なシグナルです。
同時にSLVを発行するブラックロックの株価も低下しています。

一部では、ETFの裏付けとなる銀が不足していることによるマーケットの反応だと報道されはじめました。
本当に十分量の銀が保管されているのか?
銀ETFは現物銀と本当に同じか?
医師投資家は注意深く考える必要があります。

では金ETFは?
金ETFも金価格と基本的に一致して動きますが、一時的な乖離がみられました。

東京金先物と「純金上場信託(1540)」のチャートを比較すると、一時的にETFが金先物の価格を上回った時期が確認できます。
原因は市場における現物金が不足し、結果としてETFに資金が流入したことによるものです。
その後裁定取引(同一の価値を持つ商品間で一時的な価格差を利用して利益を得る取引)が入ったためか、また同じ動きをするようになりました。
一時的な乖離は、金ETFが市場状況に応じてどのように反応するかを理解する上で、重要なポイントです。
医師投資家はチャートから、ETF投資の本質を深く把握することができるでしょう。

もし銀ETFが担保割れしたら?
本当に十分量の銀が保管されているのか?
銀ETFが担保割れを起こしたら、投資市場にとって大きな衝撃をもたらします。
ETF発行元の信頼は一気に失墜し、関連する銀ETFは暴落するでしょう。
他の健全な銀ETFまでもが価値を失う可能性があります。
その煽りを受け、金ETFにも同様の影響が及ぶことが予想されます。
投資で最も大切な「信頼」が失われた瞬間、市場は混乱に陥ります。
過去にはリーマンショックの際、リーマン・ブラザーズの破綻により、他の健全なウォール街の投資銀行への信頼も失墜し、大規模な暴落を招きました。
多くのベテラン医師投資家も経験しているでしょう。
投資の世界では、信頼の喪失が最も恐れるべき事態です。

まとめ
金・銀のETFは、その裏付けとなる現物が保管されていることから、多くの投資家にとって安心して売買できる金融商品です。
しかしその根幹が揺らぐとETFは価値を失い、対照的に現物金・銀は暴騰することが予想されます。
金・銀ETFは新NISA成長投資枠での取引が可能であり、売却益の税率も低いなど、多くの利点がありますが、
投資する際にはETFと現物の違いを理解し、適切なリスク管理が必要です。
医師の投資では現物の金・銀を購入することも、一つの選択肢です。

市場の変動や信頼の問題に左右されることなく、実物資産を保有することができます。
各投資手段の特性を理解し、自身の投資スタイルや目標に合わせた選択を行うことが、賢明な資産形成への鍵となります。
消費税ゼロ提言が目を引きますが、国際マネーフローを知るための良書です。