「医師が投資を学ぶためのリアルな実体験と勉強法の全体像」
- 忙しい医師が投資を始める際に直面する「勉強法が分からない」という課題
- 医学生時代からの金銭習慣と「貯める」ことの重要性
- バブル崩壊・リーマンショック・国債増発などの時代背景と教訓
- ゴールド投資など、リスク管理を意識した資産防衛の視点
- 最終的にたどり着いた、医師という職業に最適化された投資スタイルと勉強法
医師が投資を始める前に知っておきたい勉強法の悩みとは?
医師として忙しい日々を送る中で、「将来に備えて資産運用を始めたい」と考える方が増えています。
しかし、いざ投資を始めようと思っても、最初にぶつかる壁が「どうやって勉強すればいいのか分からない」という悩みです。
受験勉強のように明確な正解があるわけではなく、投資には多様なスタイルや考え方が存在します。
したがって、勉強法も千差万別で、「これが正解」というものはありません。
今回は、私自身がどのように投資の勉強をしてきたのかを振り返りつつ、初心者の医師投資家の方々の参考になればという思いで、実体験をもとにお話ししたいと思います。
医学生時代から始めたお金の習慣と資産形成の第一歩
医学生の頃から、「お金」には漠然とした興味がありました。投資を含め、経済や資産運用に関する書籍を手に取り、少しずつ知識を蓄えていたのを覚えています。
当時読んだ多くの本には、「まずは積立預金で資金を貯めることが大切」と書かれていました。
その教えを実践すべく、研修医になって収入を得るようになると、すぐに積立定期預金をスタート。金額は小さくても、継続することを重視しました。
この積立が、結果的に今の資産形成の“土台”となり、後の投資活動にもつながっていきました。
投資の第一歩として「貯める習慣」を身につけたことは、今振り返っても非常に大きな意味があったと感じています。

90年代・研修医時代に学んだ日本株投資の教訓
私が研修医だった90年代当時は、現在のようにインデックスファンドが普及しておらず、米国株を個人で購入するにも高いハードルがありました。
そのため、自然と日本株、それも個別銘柄への投資に興味を持ち、勉強を始めました。
株式投資の最初の教科書として手に取ったのが、邱永漢氏の著書『株の原則(邱永漢の基本法則 2)』でした。
この本から学んだのは、「日本経済全体を俯瞰し、今後発展していくと考えられる分野の株を選ぶべき」というシンプルで力強い原則です。
この考え方は、今でも十分通用します。
しかし、問題は時代でした。
私が株式市場に足を踏み入れたのは、バブル崩壊直後の90年代。
日本経済は長期的な収縮期に入り、どれだけ頭をひねって選び出した銘柄も、次々と値を下げていきました。
ドットコムバブルの時期には、一部の銘柄が急騰することもありましたが、当時は「売り時」の判断がつかず、バブルの崩壊とともにせっかくの含み益も一瞬で消滅してしまいました。
この経験から痛感したのは、「いかに優れた原則を持っていても、時代の流れには逆らえない」ということです。
その後、私はクリニックの開業に専念するようになり、しばらくの間は投資から遠ざかることになりました。

医者の高収入が資産にならない理由と“種銭”の重要性
リーマン・ショックが起こった2008年頃、私は投資から離れていた時期にあり、結果的に大きな損失を被ることはありませんでした。
当時は仕事に追われ、相場の世界とは距離を置いていたのです。
しかし、リーマン・ショック後に読んで衝撃を受けた一冊がありました。それが『となりの億万長者』です。
この本を読んで初めて、「なぜ自分は富裕層になっていないのか?」という根本的な問いに向き合うことになりました。
本書で指摘されていたのは、「高収入=資産家ではない」という現実。
まさに当時の私がその典型で、医師という高収入を背景に、高支出のライフスタイルを当然のように送っていたのです。
ここで気づきを得てからは、「節約」こそが資産形成の鍵だと認識。
生活コストを見直し、支出を抑えることに注力しました。
その分を少しずつ“種銭”として積み上げ、将来の投資資金へと変えていきました。

そして、種銭が増えてくるにつれて、ある疑問が浮かびました――「リーマン・ショックとは何だったのだろう?」
それを理解しようとすることが、私の“再スタートとしての投資勉強”の始まりでした。
リーマン・ショックから学ぶ投資の本質と金融知識
2000年代初頭、アメリカ株はまさに黄金時代を迎えていました。「ニューエコノミー」と称され、テクノロジーや新興企業への期待が市場を沸かせていたのです。
しかしその熱狂は、2008年のリーマン・ショックで一気に冷め、株価は歴史的な大暴落を迎えました。
当時は新聞の一面を「リーマン破綻」が飾り、メディアも騒然としていましたが、正直なところ「何が起こっているのか」は私自身よく分かっていませんでした。
そんな中で出会ったのが、2010年に出版された『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』という一冊です。
この本を通じて初めて、リーマン・ショックの本質――つまり、投資家たちの過剰な欲望が複雑化した金融商品と結びつき、市場全体を危機に追い込んだ構造――を知ることができました。
内容は決して簡単ではなく、理解するのに時間がかかりましたが、少しずつ読み進めていくうちに、いつの間にかマーケットに関する基礎知識が身につき始めていたのです。
そしてさらに驚いたのは、リーマン・ショック後の各国の対応です。
各国の中央銀行は、金融危機を乗り越えるために大規模な「通貨の増発=お金の印刷」を行いました。
これは裏を返せば「借金」であり、いつか返済しなければならない負債です。
「こんなことがずっと続いていいのか?」
この疑問が、新たな投資の視点につながっていきました。

国債と財政危機から考える資産防衛と医師のリスク管理
1990年代以降、日本はバブル崩壊の後始末に追われる中で、政府の借金=国債発行が急増しました。
さらに2013年から始まったアベノミクス以降、国債増刷が加速しました。
この「国の借金」が増え続ける状況に対して、当時から一部では「日本もいずれ破綻するのではないか」という不安の声が上がっていました。
私にとってこの問題は、決して他人事ではありませんでした。
というのも、保険診療を主な収入源とする医師にとって、国家が破綻すれば医療制度も崩れ、収入の根幹が揺らぎかねないからです。
そんな不安を抱えていた頃、出会ったのが以下の2冊の書籍でした:
『日本破綻:「株・債券・円」のトリプル安が襲う』
『国家破産・これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと』
特に後者は、感情論ではなく数字ベースで日本経済の実情を分析しており、非常に説得力がありました。
そこには、「日本が財政破綻に近づく構造的なリスク」が明確に描かれていたのです。
そして、私が深く納得したのが、「国債は政府の借金であり、通貨もまた国家の信用に基づく」という事実。
そんな中で、“誰の負債でもない資産”として浮かび上がってきたのが、「ゴールド(=金)」でした。
この気づきが、私の投資人生における大きな転換点となったのです。

ゴールド投資を始めた理由と金の本質的価値とは?
「国家が破綻したら、通貨も資産もどうなってしまうのか?」――そんな不安を抱えていた頃、偶然書店で手にした一冊の本が、私の視点を大きく変えてくれました。
それが『金を通して世界を読む』です。
この書籍では、金(ゴールド)という資産が、世界経済の動向と密接に関わってきた歴史や意味が、非常に深い洞察で語られていました。
それまで私にとって投資と言えば「株」でしたが、株式が企業や景気に左右されやすいのに対し、ゴールドはもっと“息の長い資産”であり、「人類が数千年にわたって価値を認めてきたもの」だという点が、非常に魅力的に感じられたのです。
そして何よりも、金は「国家の信用」や「企業の業績」とは無関係な“誰の負債でもない資産”であるため、国家破綻に対するヘッジ(保険)として最適だという考えに深く納得しました。
この理解を得てから、私は「純金積立」を開始しました。少額からでもコツコツと金を買い続けることで、経済の大きな変動に対する備えをつくったのです。
そしてその判断は、今もなお生きています。

医師が実践すべきポートフォリオ設計と分散投資の考え方
2010年代後半に入ると、少額から投資を始められる環境が整い、一般の人々の間でも投資が徐々に広がり始めました。
加えて、2億円を越える借金返済の目処も立ち、私自身も再び株式投資に目を向けるようになりました。
そんなタイミングで出会ったのが、『世界のお金持ちが実践するお金の増やし方』(2020年)という一冊です。
この本の著者は、ウォール街でトレーダーとして活躍していた人物であり、彼の視点や経験には、これまでの日本の投資本とは一線を画すリアリティと深みがありました。
特に印象に残ったのが、「ポートフォリオ」という考え方です。
ただ単に“良い銘柄を探す”のではなく、「どう資産を配分するか」「どの基準で選ぶか」「いつ・どうやってリバランスするか」といった、投資全体の設計思想が詰まっていたのです。
これらの知見はまさに、脳に染みこむように自然と理解でき、「資産形成の地図」を得たような感覚がありました。
そして、これをきっかけに――ある“決定的な本”と出会うことになります。

医師という職業だからこそ響いた“本命の一冊”との出会い
そしてついに、自分の投資スタイルを確立するきっかけとなった「本命の一冊」に出会いました。
それが、『医師の経済的自由―豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス』です。
これまで多くの投資本を読み漁ってきましたが、「医師」という同じ職業の投資家が、自身のキャリアと経済的自由を両立している姿に触れたのは、これが初めてでした。
著者は、不動産投資・株式投資・ビジネスの3本柱をすべて構築し、見事に“超富裕層”へと到達しています。
しかもそれは、「医師」という特性を最大限に活かしたアプローチでした。
この本を読んで強く感じたのは、「自分と同じ境遇にいる人こそが、最も学ぶべき成功者である」ということです。
彼が築いたキャリアパスは、そのまま私自身にとっての“現実的なロールモデル”となりました。
こうして私は、投資スタイルを“資産を守りながら増やす”という軸に据えつつ、自分なりの戦略を組み立てていくようになったのです。

医師のための投資勉強法まとめ|今すぐ始められる3つの視点
今回は、私自身が社会人になってから現在に至るまで、どのように投資を学んできたかを振り返ってみました。
振り返ってみると、その時々のライフステージや経済環境によって、必要な知識や読むべき本は大きく変わってきました。
つまり、「投資の勉強法に正解はない」ということです。
正解は一人一人の中にあります。
しかし、これから投資を始めようとしている医師の方々に、あえて勉強法のアドバイスをするならば、以下の3つの視点を大切にしてほしいと思います。
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まず投資より「お金そのもの」を学ぶことが大切
投資は「余剰資金」で行うべきであり、生活費を削ってまで行うものではありません。
そのためには、収入を増やす方法(増収)や、支出を減らす工夫(節約)を学び、まず“種銭”をつくることが最も重要です。
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今の投資環境を知ること
マーケットが好調なときは、どんな株を買っても上がりがちですが、不調のときは多くの銘柄が下がります。
だからこそ、“その時々の市場環境”を理解する力が、長期で資産を守り育てるための鍵になります。
相場が厳しいときには、株以外のアセットクラス(たとえばゴールドなど)も組み合わせる柔軟さが求められます。
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自分と似た境遇の成功者の知識を得ること
たとえば医師が、全く異なる職業の投資家の手法を真似しても、ライフスタイルや時間の使い方が違うため実践が難しい場合があります。
自分と似た立場の人がどうやって成功したかを学ぶことが、最も実用的な知識となります。
この記事が、これから投資を学ぼうとしている医師投資家の方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。
自分のペースで、しかし確実に「経済的自由」への道を歩んでいけることを願っています。

投資初心者に必要な知識が網羅されており、自分も参考になりました。