- 医師投資家は診療による疲労が投資判断に影響しやすく、感情コントロールが重要な課題となる
- 不安・焦り・恐怖・欲望・過信といった感情がパフォーマンスを下げる原因に
- 解決の鍵は「メタ認知」──感情や思考を客観視する力を育てること
- セルフモニタリング、マインドフルネス、ジャーナリングなど、医師にも実践しやすい方法を紹介
- 感情に流されず、冷静で安定した投資判断をするための習慣化のヒントを共有
診療の疲れが投資判断に影響? 医師投資家が直面する感情の壁
多くの個人投資家が直面する共通の課題のひとつに、「感情のコントロール」があります。
これは決して初心者に限った話ではなく、一定の資産を築いた投資家でも陥りやすい問題です。
特に医師という職業は、日々の診療で高い集中力と精神的なエネルギーを要するため、仕事の疲れがそのまま投資判断に影響を与えやすい状況にあります。
結果として、以下のような感情に悩まされることが多くなります:
- 間違った銘柄やタイミングで売買していないかという不安
- 株価が高騰しているのに買わないと、チャンスを逃すのではという焦り
- 株価が下がる中で、今売らないと大きく損するのではという恐怖
- 投資が順調なときに、もっとリスクを取ればさらに利益を得られるのではという欲望
- 資産が増えていることで「自分は負けない」という過信
このような感情に振り回されると、投資そのものがストレス源になってしまい、結果的に冷静な判断ができず、パフォーマンスも落ちてしまいます。
特に医師投資家にとっては、日々の診療での心理的負荷に加え、投資によるストレスまで抱えるのは避けたいところです。
私自身も、かつてはこうした感情に翻弄されることがありました。
そのときに出会い、解決の糸口となったのが「メタ認知」という考え方です。
感情に支配されない!医師投資家に必要なメタ認知と冷静な投資判断力
メタ認知とは、一言でいえば「自分の考えや感情の動きを、もうひとりの自分が観察するように客観視する力」です。
医療の現場でも、診断や治療において客観的な視点が重要であるのと同様に、投資においてもこの「もうひとりの視点」が極めて有効に働きます。
具体的には、メタ認知が高まると以下のような能力が養われます:
- 自分の判断力やスキルを正確に認識できる
- 感情の揺れを正しく捉え、コントロールしやすくなる
- 状況に応じて、自分がどう対応すべきかを冷静に判断できる
投資の文脈で見ても、メタ認知は非常に有益です。具体的な効果として以下のようなものが挙げられます:
- 日々の株価の上下に一喜一憂しなくなる
- SNSやニュースで煽られても、流されず自分を保てる
- 投資によるストレスが減り、精神的に安定する
- 自分の「投資の目的」が明確になり、ブレない判断ができる
つまり、メタ認知を鍛えることは、感情に支配されない安定した投資判断を下すための基盤づくりでもあるのです。
ありがたいことに、このメタ認知は先天的な才能ではなく、後天的にトレーニングで高めることができる能力です。
医師が実践する投資力アップ習慣 ― メタ認知で感情を整える方法とは?
メタ認知は意識的なトレーニングによって高めることが可能です。
医師として日常的に患者の状態を観察・評価しているように、自分自身の内面を客観的に観察する時間を持つことが大切です。
具体的には、以下のような実践方法があります:
- セルフモニタリング:日々の行動や感情の動きを記録し、自分のパターンを把握します。忙しい医師にとっては、診療後の5分でも有効です。
- マインドフルネス瞑想:呼吸や感覚に意識を向け、「今この瞬間」に集中することで、思考や感情の波から距離を取る練習になります。
- ジャーナリング(紙に書き出す):感じたことや考えたことを紙に書くことで、頭の中を整理し、客観視する力を養えます。
私自身も、かつて浪費癖に悩み、「なんとかしたい」と思ってマインドフルネス瞑想を始めました。
意外にもこの習慣が、投資成績の向上という形で思わぬ副産物をもたらしました。
次の章では、その具体的な体験をシェアしたいと思います。
浪費癖が治り、投資も安定 ― 医師投資家が語るマインドフルネス実践記
マインドフルネス瞑想と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実はとてもシンプルです。基本は「ただ呼吸を見つめる」だけ。
深く呼吸しながら、その感覚に意識を集中させる――それだけで十分です。
このシンプルな習慣を続ける中で、私はあることに気づきました。
それは、自分がコマーシャルや広告、SNSなどに煽られて、無意識に浪費していたという事実です。
買い物や投資判断の多くが、「自分の意志」ではなく、「外部の刺激」に影響されていたのです。
気づいたのは、自分の“嗜好のクセ”。
それを意識できるようになったことで、溢れる情報の波に流されず、「本当に自分に必要なものは何か?」を見直すきっかけとなりました。
そして、この変化は投資にも次のような好影響を与えました:
- 物欲が激減し、自然と節約志向になったことで、投資に回せる資金が増えた
- 「今話題の銘柄を買いたい」という衝動が消え、ライフプランに合った投資対象に目が向くようになった
- 株価の下落局面でも恐怖に支配されず、冷静に買い増し判断ができるようになった
とはいえ、すべてが順風満帆というわけではありません。過去には日経先物で大きな損失を出した経験もあります。

だからこそ、「日々、自分と向き合い続けること」の大切さを今も実感しています。
メタ認知とマインドフルネスは、一度習得すれば終わりではなく、人生と投資の質を高め続けるための“継続的なメンテナンス”でもあるのです。
感情を味方に、医師としても投資家としても豊かな人生を
今回は、医師という高ストレスな職業を持つ方々にとって、見過ごされがちな「投資の心理面」についてお話ししました。
投資の世界では情報やテクニックばかりが注目されがちですが、実際には「心の動き」が大きな影響を及ぼします。
投資は本来、資産を増やすためだけでなく、「人生をより豊かに生きるための手段」です。
にもかかわらず、感情に振り回され、ストレスを抱えながら続けていては本末転倒です。
そこで有効なのが「メタ認知」の向上。自分の感情や思考を客観的に捉える力を育てることで、冷静で本質的な投資判断が可能になります。
メタ認知を高める方法は様々あり、セルフモニタリング、マインドフルネス瞑想、ジャーナリングなど、自分に合ったスタイルを選ぶことが大切です。
無理なく継続できる方法を見つけて取り組んでみてください。
医師として、そして投資家として、ストレスの少ない環境で、着実に資産形成を進めていく。そのためのヒントとして、本記事が少しでも役立てば幸いです。
どうか、「楽しく、そして賢く」、投資の世界を歩んでいってください。
マインドフルネスの具体的な方法を解説。YouTubeで少しずつやり始めるのも、アリ。