値上げラッシュが続いていますね~。
ガソリン代も高いし。
あーあ、困った・・・。相変わらず困っている山のクマです。
このままインフレが進んだら、金利も上昇するんじゃあないかな?
日銀は長期国債金利を0.25%以上にならないようにしているけど、
こうなるとドンドン円安が進んでしまいます。
でも金利を上げると国債価格は下がるので、
日銀や政府の財政破綻の可能性が出てくるように思うんですよ。
そんなことを考えていたら、YouTubeに興味深い動画がありました。
金融のプロ2人が、日本財政破綻について激論を交わしていました。
結構専門的なんですが、今回紹介しますね。
藤巻健史さんと山崎元さん
二人とも元金融のプロで、今は解説などをやっています。
同じ「プロ」でも、全く見通しが違うんですよ。
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=qK9NG-QGji8&t=1302s
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=pM_p47LXAlY
それぞれの現状と見通し、対策、それに対する感想を述べてゆきます。
山崎さん
彼はかなり楽観的な見通しです。
現状と見通し
・今後は緩やかなインフレが進む
・インフレ率2%を達成したときに金融引き締めを行い、経済が停滞してしまうことが心配
・ハイパーインフレは生活用品が不足しないと起きないため、今の日本では考える必要ない
・インフレが進むと名目GDPは上昇するため、税収も増え、政府と一体の日銀は信用を失わない
・金利上昇から国債価格が下落し、日銀の債務超過になる可能性については、政府が出資すればよく、財政赤字なら出資金は国債発行で賄える
もう典型的なMMT論です。日本、日銀は「絶対大丈夫」と。
今後の対策は?
・今まで通り働いて、株価が下がったところでインデックスファンドを購入する
じぶんの感想
突っ込みどころはいっぱいあるんですが・・・。
現状と見通しについて
金利を最終的に決めているのは、国債入札に参加した金融機関です。
クニが低い金利で発行しても、銀行などが「いやいや、その金利じゃ買わないでしょ」となれば、ドンドン金利が上がります。
インフレが進んで金利が上昇すると、銀行が購入した国債も下落します。
そんな債券、わざわざ買わないでしょう?
もしマーケットで国債が消化できない=未達の時は、全世界から一斉に国債先物が売られ、暴落します。
そうすると負債>資産となり、自己資本がマイナスになる「債務超過」に陥ります。
「あの銀行は危ない!」と噂が立ち、取り付け騒ぎです。
コレは日銀も同じ。
「国債は額面で償還されるため、損はない」と強弁しても、
海外勢からは日銀の債務超過と認識され、
一気に円売り、国債売りとなります。
増資しようにも、政府は既に借金で首が回らない状態。
お金がありません。
新たに国債を発行して日銀に買い取ってもらうって?
それ禁止されている「直接引き受け」じゃないですか。
直接引き受けを発表したら、さらに売り浴びせられます。
日銀がムリして買い支えようとすると、円が暴落して、高度なインフレになります。
結局「日銀の健全性判断はマーケットが行う」という視点がすっぽり抜けているんですよ。
対策について
まあ、まっとうな戦略に見えます。
しかし、「今回はコストプッシュインフレ」と述べているにもかかわらず、スタグフレーションに陥る可能性を考えていません。
今まで通り働いたら、生活が苦しくなるだけで投資は出来ないんじゃあないかな?
スタグフレーションになったときの「対策」をまず考えるべきだと感じました。
藤巻さん
現状と見通し
・金融引き締めとして金利を上げると、国債価格下落から日銀が債務超過になり、海外の格付けが下がり、売りになる
・また金融引き締めをしないと、どんどんインフレが進んで生活が苦しくなる。
どちらにしてもハイパーインフレになる、と述べてました。
今後の対策は?
・保険としてドル資産を購入
・出来れば暗号資産も、宝くじの代わりに買っておく
ハイパーインフレに備えよ、と。
じぶんの感想
現状と見通しについて
論理的にはとてもまっとう。
国債って買ったらずっと持っているイメージありますが、
実際は盛んに時価で売買されています。
金利が上昇したら価格が下がるため、国債を持っている日銀が時価評価で負債>資産の債務超過になってしまいます。
それはともかく、ハイパーインフレの定義って知っているのかな?
良く使われる定義は、1ヶ月のインフレ率が50%を越えるとき。
コレは1年で物価が130倍になるという、とんでもない状態。
現実的には山崎さんが述べた通り、年間100倍を超えるようなハイパーインフレは、モノ不足を伴わないと起こりにくいと思います。
一方国際会計基準では「3年間で累積100%以上の物価上昇」をハイパーインフレの定義としています。
これなら、ありえるかな・・・。
藤巻さんは「ハイパーインフレ」というコトバで、不安をあおっているように思えます。
対策について
インフレへの備えが必要という点は同意します。ただ、ドルはダメなんじゃあないかな?
ロシアのSWIFT排除がメディアで発表されたのは、遅くとも3月3日。いつ収録されたか不明ですが、この件も考慮に入れるべき。
SWIFTからのロシア排除により、ドル必要量が減少し、ドル安になる要因を勘案していません。
ロシアと中国は、既に人民元で取引しています。
また米国債って、日本が一番買っているんですよ。
日本の財政が悪化すると金融危機に発展し、米国債を買う余裕はなくなります。むしろ米国債を売るんじゃあないかな?
これ、他の通貨に対して円とドルが同時に暴落となりそう。インフレ対策にはならないと思います。
頭の中には「マネーと言えばドル」という思考回路しかないような感じがしました。
どうしてプロの見解が異なるのか?
マーケットに一番近い、というよりどっぷりハマっている職種です。
マーケットをみる立ち位置の違いが、2人の見解を分けていると思います。
ちなみにゴールドのトレーダーだった豊島さんは、こう述べてます。
日本の外為アナリストは、理論建ては上手だから、ああのこうの、と理屈並べているうちに、行動あるのみの米国側が、ドル円価格主導権を把握してしまう。
いつマーケットが牙をむいて日本売りに走っても、おかしくない状況。
直近の急激な円高は、その現れと思っています。
市場の暴力が分かるのは、マーケットでアドレナリンを出しながら取引しているトレーダーなんでしょうね。
まとめ
2人のプロがインフレと日本国債に対して、全く異なる見解を持っていました。
マーケットは様々なプレーヤーが取引していることを、改めて認識できました。
どちらが正しいのか、もしくは両方間違っているのかは、時間が証明すると思います。
資産をマーケットに投入するからには、専門家の意見を鵜呑みにせず、
自分の頭で考えて参加しないとダメだなーと感じました。