5月20日に発表された日本のインフレ率は2.5%と上昇しました。
黒田総裁、おめでとうございます!2013年からの9年越しの念願達成です!
政府もさぞ喜んでいるでしょう!
でも、喜びの声は全く聞かれません。
そりゃそうです。物価だけ上昇して、GDPはマイナスで、給与も増えません。
なぜか?
今回のインフレは典型的な「悪いインフレ」だから。
悪いインフレ?
今回のインフレは、円安、原油・食料高によるコストプッシュインフレです。
景気が良くなって、買い物する人が多くなるデマンドプルインフレだと良いんですけどね。
つまりGDP=売り上げ-原材料費
インフレで売上が延びても、原材料費が上がるとGDPは下がっちゃいます。
この原材料費を示す企業物価指数は1年で10%も上がっています!
2%値上げできても原材料費が10%も上昇したら、儲けは出ません。
企業は悲鳴を上げています。
原因の一つは、もちろんウクライナ危機。
でも、ロシアの長期的戦略もあるんです。
プーチンのコモディティ戦略
最近興味深い本を読みました。
コールダー・ウォー
ソビエト連邦が崩壊し、ロシア経済は混乱の極みにありました。
プーチンは大統領就任後、ロシア再生のために自国資源を大いに活用しようと考え、行動しました。
それが具体的に見えてきたのが、ウクライナ危機です。
・天然ガスの支払にルーブルを使うよう要求する
・中国と緊密に連携する
・ルーブルをコモディティとリンクさせる計画
などなど
7年前の出版ですが、この本の内容が現実化しています。
ウクライナ危機が長引くほどエネルギー・食料は不足し、価格が上昇してきます。
本当に早く終わって欲しい。
おいおい・・・。
ウクライナ危機は簡単に治まらず、インフレも進むでしょう。
日本は金利を上げられない
インフレに対してFRB(米国中央銀行)とECB(欧州中央銀行)などは利上げで対応しています。
でも日本は、長期金利0.25%以上にならないような政策をとってます。
でもこのまま低金利が続くと、円安などでさらに企業のダメージが強くなります。
でも、構造上日本は金利を上げられません!
予算の34%を国債でまかなっているため、金利が上昇すると利払いが増え、国家財政が圧迫されます。
インフレが進むと税収が増え、GDPも増えると言われています。
でもGDPを増やすには、現時点でも「ざくっ」と10%以上の物価上昇が必要です!
なんてったってGDP=売り上げ-原材料費ですから。
日銀が金利を上げれば国家財政がキツくなる、上げなければインフレが進行する・・・。
どうするんでしょう?
現代貨幣理論(MMT)で国民は不幸になる
アベノミクス、日銀の金融緩和は、MMTをベースに行われました。
コレ、良かったんでしょうか?
金利を上げてインフレを収めようとすると、利払い費用が増加し、国は緊縮財政を敷かざるを得なくなります。
年金・介護・医療の社会保障費は税金から36%補填されており、
緊縮財政では縮小せざるを得なくなります。
金融緩和維持なら高度インフレ、終了なら医療費削減。
どちらに転んでも、我々がツケを払うことになります。
防衛策を考えましょう!
対策の一つはゴールド!
円安対策だけならドルなどの外貨を考えますが、今回は世界中でインフレが進んでいます。
つまり、外国通貨を持つだけではダメかもしれません。
そこで登場するのが無国籍通貨のゴールド。
今回のインフレは、1970年代のオイルショックに類似するとも言われています。
ゴールドは高騰していますが、今からでも遅くありません。
ドルコスト平均法で積み立ててみるのが良いと思います。
まとめ
黒田総裁は
強力な金融緩和により、経済をしっかりとサポートすることが重要だ
と話していますが、日銀の目的は物価の安定と金融システムの安定です。
経済のサポートは政府の仕事。
金融緩和の目的は、本当に「経済のサポート」なんでしょうかね?
いずれにせよ、大変な時期がやってきそうです。