2022年から次々と値上げです。
そして賃金も上昇しようとしています。
しかし医者の給与は上がりません・・・。
なぜ急激なインフレになったのか?
これからどうなるのか?
現状を分析し、今後を展望します。
リーマンショックが小さな芽
2008年10月のリーマンショックの時、FRBはマーケットを落ち着かせるために大量のマネーを発行しました。
リーマン・ショック・コンフィデンシャル
その額の大きさに当時は驚きましたが、今となってはかわいいモノ。
この時からマネー増発が日常的となります。
インフレの危機を感じてゴールドを買い始めたのも、この頃からでした。
金融危機に陥ったモルガン・スタンレーを三菱UFJが買収するなど、当時の日本にはまだ力がありました。
でも日本の人口はこの年がピーク。
以後少子高齢化のため国力が低下してゆきます。
アベノミクスから始まった
今のインフレは、2013年のアベノミクスからスタートしています。
安倍元首相に任命された黒田日銀総裁は、大規模な国債買い入れを行って通貨を供給する、量的緩和をはじめました。
これはMMT理論を元にしています。
財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕
ドル・ユーロ・円は、国債をドンドン発行し、いくら通貨を増やしても大丈夫。
マネーが増えてインフレの芽が出てきたら、増税と利上げで通貨を回収すれば良い。
どう考えても無理筋です。
歴代の政権がどれだけ増税に苦労してきたか、アカデミックの面々は知らないのでしょう。
消費税増税は時の政府を倒します。
混乱しているウチに、インフレは手に負えなくなります。
「でも安倍政権の時はデフレでしょ?」
確かに消費者物価はデフレでしたが、株、ゴールド、不動産などは上昇し、資産インフレになっています。
ここをチャンスとみた面々は、投資で大きな成功を収めました。
富裕層はさらに富み、株も持っていない庶民は給与も増えず・・・。
これで経済格差が一気に開きました。
パンデミックでさらにマネー増発
2019年末から始まったコロナ禍は、経済活動に急ブレーキを掛けました。
コロナ対策として行った給付金、補助金、医療資源配布、ワクチン公的接種などのため、国債発行額は急増。
通貨が増えればインフレになるはずですが、経済は回らないため物価は上がらず。
一方、資産インフレには拍車がかかりました。
この頃から高級時計の価格も急騰しました。
経済活動再開でインフレへ
コロナ後、欧米はいち早く経済活動が活発化しました。
しかし中国のロックダウンのため物流が滞り、
インフレ率は前年比9-10%という状態に。
さらにパンデミックで人びとの行動変容が引き起こされ、エッセンシャルワーカーが極度に不足。
世界インフレの謎
そりゃCOVID-19がうつるかもしれない接客業は、イヤです。
結果、人件費は高騰しました。
さらに資産インフレの結果、不動産バブルの様相から家賃が急騰。
人件費と家賃は、一度上がるとなかなか下がりません。
インフレが長引く要因です。
突如のロシア・ウクライナ戦争
2022年2月のロシア・ウクライナ戦争は、世界を変えました。
食料・エネルギーの高騰を招き、西側諸国のインフレはさらに悪化。
ウクライナを応援する西側と、ロシアに親和的なBRICS+中東+南米とで、新たなイデオロギーの対立が生まれました。
自由主義陣営 vs 専制主義陣営
佐藤優氏は、イデオロギーの対立は相手を殲滅させるまで争うことになると、この本で書いています。
君たちの生存戦略: 人間関係の極意と時代を読む力
どこまで泥沼化するか不透明ですが、戦争が終結しても対立は長引くでしょう。
パワーバランスの変化
世界情勢は、ロシア・ウクライナ戦争の前から変化しています。
アフガニスタン撤退により、米国の中東におけるプレゼンス低下が顕著となりました。
そこに手を伸ばしたのがロシアと中国。
プーチン大統領は大学院の時、「資源でロシアを復活させる」という論文を書いています。
中国も経済活動のためエネルギーが必要。
中東の盟主サウジアラビアは脱石油を掲げ、中国のテクノロジーに熱視線を送っています。
ドルが基軸通貨である理由は、原油取引をドルのみで行っているから。
石油輸入のため、各国は必ずドルを持たなければならない。
しかし中国がココに楔を打ちました。
ペトロダラーは徐々に衰退してゆくでしょう。
一方、近い将来人口世界一となるインドは、経済発展のために資源国ロシアとの関係を重視しています。
インドとソ連・ロシアは歴史的に長い付き合いがあります。
一方西側諸国はインフレに苦しんでおり、英国に至っては年金基金が破綻寸前になるなど、経済危機を迎えようとしています。
明らかに世界のパワーバランスが変わっており、今後経済の流れも大きく廻転します。
日本のメディアではこういった報道はほとんどされません。
しばらく休載します
今後は混沌とした世界情勢となってきます。
米国一人勝ちの世界は終了するでしょう。
ドルを中心とした金融システムも、機能しなくなる可能性があります。
火種はロシア vs ウクライナだけでなく、イスラエル&イギリス vs イランにもあります。
第一次世界大戦前夜のよう。
この時も、オーストリア皇太子の暗殺が、全世界を巻き込む対戦に発展するとは、だれも予測しなかったでしょう。
これまで様々な状況を分析して、医者が経済危機を乗り切るための方策を考えてきましたが、
今は些細な出来事で、未来が大きく変わる可能性が高くなりました。
まさかこんなコトになるとは・・・。
状況を見極めるため、しばらくブログは休載します。
今注目しているモノ
それでも今後を見据え、今は2つのカテゴリーに注目しています。
キーワードは「資源」。
原油・天然ガス
SDGsが叫ばれていますが、自然エネルギーは発電が不安定。
風力などの比率が高い英国は今電力不足になっており、コレがインフレを押し上げています。
しばらくは化石燃料の安定した電力が不可欠。
オイルメジャー株は有望と考えています。
ゴールド
既にロシアは、ルーブルを金・資源インデックスにリンクさせることを発表しています。
これは金本位制の新たな形。
ゴールドをバックとする通貨は信頼され、流動性は高くなる可能性があります。
中国も、ゴールドを影で大量に保有しているとの噂が絶えません。
その気になれば一瞬で、金リンクの人民元が出来上がります。
反対に国家財政を担保とするのがユーロ、ドル、円。
日米欧は国債を大量に発行しています。インフレにより利上げを余儀なくされれば、国債価格は下がります。
西側通貨は信用を失い、暴落する可能性があります。
日本に住む我々にはかなりまずい状況。
円の価値が下がるとは、購買力が低下すること。
医者の給与でも欲しいものが買えず、貧乏の道へ。
近い将来を見越して、ゴールドは今でもヘッジの最右翼と考えます。
まとめ:金融危機に備えよ
さんざん叩かれてきた藤巻健史氏が、いま元気です。
彼は2000年代から、日本国債の暴落とハイパーインフレを警告していました。
また澤上篤人氏も、金融危機を警告しています。
ベテラン二人の共通点は「フツーの金利」が働いていた1970-1980年代に、マーケットで仕事をしていたこと。
現代の低金利に慣れきった投資家とは、インフレや利上げに対する皮膚感覚がまったく異なります。
FRBの利上げ幅は5%程度と見込まれています。
通常なら全く問題ない金利。
しかし借金の額が多いと、返済額が跳ね上がります。
現在の全債務=借金は、全世界GDPの3倍にもなります。
例えば年収1,500万円のドクターが、4,500万円の住宅を30年ローンで購入し、金利が1%から5%に上がるとどうなるか?
1%で毎月144,737円が、5%では241,569円へ。
支払総額は5,200万円が、8,700万円へ。
支払えるのでしょうか?
危機は目の前に迫っています。
インフレの原因は量的緩和だけではありません。
中国の少子高齢化が始まった今、物価上昇は避けられない。
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