あーあ、とうとう値上げか・・・。
どーしよう?
こんにちは、山のクマです。
ウクライナ侵攻、円安、物流停滞で物価が上昇しています。
消費者もあきらめムードなので、これからインフレは進むでしょう。
自分たちの生活は大丈夫なんでしょうか?
今回は歴史をひもときながら、今後の展望を考えてみます。
「インフレはかなり進んで生活は苦しくなるだろう」
なんか残念な結論になってしまいました。
以下のデータは「物価とは何か」「国家は破綻する」の本と、様々なネット上のデータを用いています。一部正確さに欠けるところがあります。
物価とは何か
→Amazon.co.jp
分析はアカデミックなものではなく、今後の投資方針の決定を意図に行っていることをご了解ください。
インフレでは中央銀行が動く
インフレになると国民の生活が大変なため、中央銀行は金利を上げて対応します。
おおざっぱに述べると、
金利上昇で株価が下がり「景気が悪い感じ」が出てきて、
企業はお金を借りにくくなって経済は回らず、
消費者は買い物を控えるようになり、
モノが売れず物価は下がって、インフレは終息してゆきます。
しかし今の日本は、金融引き締めをとてもやりにくい財政状態です。
金融引き締めは難関
金融引き締めで国債金利も上がります。
すると、クニも借金しにくくなります。
なぜなら利子払い費用が増大するから。
借金の利子返済だけで、税収の12%にもなっています。
しかも元本は返済していません。元本は「借換債(かりかえさい)」として、新たに借り直しています。
しかも国家予算の一般会計は106.6兆円と、税収より多いんです。
この状態でインフレ沈静のために金利を上げると、利払いだけで13兆円を越えると試算されています。
あまりにケタが多すぎて、ピンと来ない・・・。
家計で考えると、年収635万円の家族がローンで1,066万円の生活している。
借金の金利は年間80万円。今後金利上昇で利払いは130万円に増加見込み。
しかも元本返済しておらず、借り換えている。
どうみても無理ゲーでしょう!
「クニと家計を一緒にするな!」
反論が聞こえてきそうです。
では、クニがこれだけ債務(借金)がある状態で利上げをしたらどうなるか?
歴史を振り返ります。
ブラジルはすごかった
1970年代後半のブラジルは外国から融資を受け、経済は順調に発展していました。
当初債務は順調に返済できていましたが、オイルショックで経済が悪化。
国家財政も悪くなり、債務もドンドンふくれあがりました。
同時に年間100%、つまり1年間で物価が2倍になるインフレに。
1980年にようやく利上げによる金融引き締めをやりましたが、1985年にはインフレ率が220%へと、むしろ増加してしまったのです。
借金が多かったのに歳出削減せず、利払い増加が加わったため、財政がドンドン悪化しました。
コレがインフレ進行の原因です。
90年代に入るとブラジルはハイパーインフレに突入してしまいます。
国家財政と家計の違いは?
個人が借金して生活すると、そのうち借金できなくなります。
財産や給与が差し押さえられ、最低限の生活しか出来なくなります。
コレが個人の財政破綻。
ところがクニの場合、他国通貨の債務は別ですが、
自国通貨の借金は、お金を自分で作れてしまうため、いくらでも借金できます。
しかし放漫経営の先には、ブラジルのような高度なインフレが待っているのです!
日本も同じ
日本の国債は90%が国内で消化されており、ブラジルとは違うと言われています。
しかし1980年代、ブラジルもGDP比210%だったのですが、国内債務160%、対外債務50%と、圧倒的に国内で消化していました。
「国家は破綻する」によると、日本はブラジルと比べ、デフォルトしにくいだけ。
日本でも財政削減せずに金利を上げると、政府の財政悪化が意識されます。
その結果起こるのは、海外からの強烈な国債売り、円売り。
海外勢は国債を持っていなくとも、国債先物市場で「売り」ポジションにできます。
結果は猛烈な国債安・円安です。
銀行は時価会計のため、国債下落で資産評価が下がり、下手をすると債務超過になります。
コレは金融危機に発展します。
また円安によるコストプッシュインフレが短期間で進行し、原材料費は高騰。企業が次々と倒産し、失業率は増加。生き残った企業でも賃金は下がるでしょう。
金融危機に加え、インフレ、失業者増加、賃金低下による大恐慌になる気がします。
インフレ退治はどうする?
スーダンの歴史をひもときます。
スーダンは1980年代にインフレが進み、一時は年間100%を越えるようになりました。
理由は内戦と干ばつによる国家経済の逼迫で、やはり大量の通貨を増発してインフレになっています。
1996年に中国政府の支援で油田の開発が進み、財政が改善するとの見通しを政府が公表すると、物価上昇が沈静化していきました。
「インフレがようやく収まる!」という国民の予想がインフレを鎮めたのです。
日本でインフレが進んだ場合はどうするか?油田開発は見込み薄い。
現実的には緊縮財政でしょう。
政府が緊縮財政を敷くと、一般会計予算の約35%を占める年金、医療、福祉関連も削減され、年金危機、医療危機、介護危機に陥るでしょう。
日本では、利上げは地獄への片道切符です。
思考実験:デノミネーション
以下の内容は、こちらのメルマガを大いに参考にしました。
アクロバティックな手段としては、いわゆるデノミ!
デノミは通貨単位の変更ですが、日本では通貨切り下げや変更の意味で使われています。
https://www.smd-am.co.jp/glossary/YST2427/
例えば今の2円を新1円にする。コレ、新紙幣が発行される2024年に行われるんじゃないかと、一部で言われています。
物価、給与は新しい円を使い、そのままの額面なので問題なし。
しかし国債残高は1,200兆円が新円600兆円に圧縮。コレでGDP比250%→125%へ。
国債を多く持っている年金基金や銀行、生保は大変でしょう。特に銀行がつぶれると金融危機になるため、何らかの対策が検討されるかもしれません。
損をするのは年金生活者と、円のまま貯蓄しているヒト。
高齢者が割を食う形になるんでしょうね。
でも財政再建への期待からインフレが収まり、現役世代の生活は落ち着くでしょう。
なお戦後のハイパーインフレの時には、預金封鎖による円流通量抑制と高率な資産課税が行われました。
GHQ指揮下での政策です。
希望的観測にはなりますが、
現代のようにデジタルでお金が動くときには、預金封鎖は無理なんじゃないかな?
また高率な資産税は、財産権が憲法で保障されているので、すぐに実行は難しいのではないでしょうか?
今からインフレ対策を!
以上、さまざまな資料から推察してきました。
今後インフレがどんどん進行するのは、ほぼ間違いないように思います。
そして緊縮財政が敷かれると、保険診療削減から医者の給与は減ります。
インフレに強い資産を持つことが、とても重要だと感じました。