こんにちは、山のクマです。
以前ブログで、World Gold Councilのレポートを紹介しました。
2020年は上昇していた金が
2021年はじわじわと下がって来ました。
ところが、10月から再上昇しています。
なぜなのか、また2022年はどうなるのか?
今回もWGCのレポートを元に、
来年を占ってみます。
以下は個人的な意見です。投資は自己責任でお願いします。
金価格を動かす要因
金価格を動かす要因を再度まとめてみます。
金は供給が比較的一定のため、
需要が増えれば価格が上がり、需要が減れば価格が下がります。
おおざっぱな取引量を示します。
供給:4,500トン
鉱山:3,300トン、リサイクル:1,200トン程度です。
2020年はコロナ禍で鉱山の稼働率が悪くなり、やや低下しました。
2021年は順調に産出される一方、リサイクル量は減少しています。
需要:4,300トン
およそ以下の通りです。
宝飾用:2,000トン
投資用:1,500トン
現物:1,200トン
金ETF:300トン
中央銀行:500トン
工業用:300トン
この中で最も大きく変動するのは金ETFで、マイナス900トン~プラス550トンにもなります。
金は資金流入で急上昇しやすい
金の産出量は毎月一定で、急な増産は出来ません。
そのため2020年7月のように投資資金が流れ込むと、
金価格は急上昇します。
流入先は金裏付けのあるETFです。
ここ数年、投資マネーによる金ETFが、金価格を左右してきました。
2021年1月~9月までの動き
1トロイオンス1,800ドル台からじわじわ下げ、1,700ドル台で推移しました。
この時期は金ETFの需要が減少し、これが金価格の大きな要因となりました。
投資マネーは株などのリスク商品に向かったのです。
そのほかの需要は、
中央銀行、工業用は一定でした。
コロナ禍で減少した宝飾用も戻り、ゴールドバー、金貨と言った現物の購入も増えてきました。
ETFが金価格を決定するという、これまでの流れが続いていました。
2021年10月に潮目が変わった
1トロイオンス1,700ドル台からじわじわ上げ、1,800ドル台で推移し、今もその流れが続いています。
金ETFへの流入が増えたのでしょうか?
違うのです、ETFからは純流出となり、マイナス25.5トンでした。
他の需要はどうでしょう?
宝飾用、現物、中央銀行、工業用は大きな変化がありません。
ところが先物の取引量が前月比プラス164トンと大幅に上昇し、ETFからの流出を上回りました。
これが金価格上昇の要因です。
先物の需要が増えた原因は、
経済停滞とインフレーションが予測されたためとWGCのレポートでは分析しています。
つまり、金価格はスタグフレーションを織り込む形となったのです。
通常インフレでは中央銀行が利上げを行う事が多く、金価格は下がってきます。
しかしスタグフレーションになると話は違います。
11月10日の米国消費者物価指数は、前年同月比6.2%という1990年11月以来の高い伸び率でした。
2022年はどうなる?
今回のインフレの原因は、コロナ禍による物流の停滞、エネルギー価格の上昇、などであり、コストプッシュです。
別名「悪いインフレ」です。
景気が良くなって給与も上がり、それにつれて物価が上昇するなら「良いインフレ」なんですけどね。
今後コロナ感染が終息し、物流が改善して景気が上向き、中央銀行が安心して利上げできるようになると、
金価格も落ち着いてくると思われます。
しかしパンデミックが終息せず、インフレ+景気後退となるなら上昇してくると思われます。
まとめ
2022年の金価格は、インフレと経済動向次第となりそうです。
日本人にとってさらに気になるのが、円安です。
こちらのブログでも書かれていますが、
円建ての金価格はドル建てより上昇率が高くなっています。
円安がさらに進むと、
ゴールドも本当に高嶺の花になってしまうのかな?
ちょっと気が滅入っています。