なんだかんだ、投資を続けて30年になる。
時々どうして続けられたのだろう、と思う。
もちろん投資の勉強は、知的好奇心を満たしてくれた。
しかしそれ以上に、利益を出して資産が増えたことが、大きい。
成功体験の積み重ねが、モチベーションとなった。
最初はビギナーズラックだった。
研修医時代
証券会社に口座を作り、初めて買った株が、とある電機株だった。
買った理由は「知っている会社で、良さそう」という漠然としたモノ。
ラッキーなことに3倍に値上がりした。
売却し、ある銀行株を買った。
「これから景気が良くなりそうだから、銀行融資が増えるだろう」と考えたためだ。
しかし、上がらない。
後で知ったのだが、企業は銀行からの融資ではなく、「社債」で直接投資家から資金を集めていたのだ。
以前より銀行の役割は縮小していた。
まさに勉強不足。
でも当時はそのことにも気付かず、一進一退の状態。
ある日、投資の先輩と飲んでいたときだ。
先人の話
話の流れから、電力株で儲けた話になった。
私「最初儲かったんですけどね」
先輩『おー、それは良かったね~』
「でもその後伸びなくて・・・」
『まー、そういうこともあるよね』
「ビギナーズラックに当たると、だめなんですかね~」
『うーん、そうでもないと思うよ』
「え、そうですか?」
『だっておまえ、最初に得をしたから、今まで投資を続けてるんじゃないの?』
「あ・・・」
先人と話していて、ビギナーズラックも成功体験だと気付かされた。
成功体験があったからこそ、投資のモチベーションを保つことが出来ていた。
株で「儲けて」やめた人はいない
周りには、せっかく株式投資を始めたものの、途中でやめた人が何人かいる。
彼らは全員「損をして」やめた。
損をすることでやる気が枯渇し、投資の勉強に注ぐエネルギーが削がれてしまったのだ。
人間は現金なモノで、儲かればエネルギーが湧くし、損が続けばゼロになる。
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やはり投資には成功体験が大切なのだ。
でも一つ疑問が湧く
ビギナーズラックがなかったら?
先ほどの続きだ。
私「でも、みんながビギナーズラックに当たるわけではないですよね」
先輩『もちろん、そうだね』
私「じゃあビギナーズラックがなかったら、モチベーションを維持できないんじゃないですか?」
先輩『まあ、そうとも言えるけど・・・、要は損しなければ良いんだよね』
「そりゃそうですけど」
『昔、証券レディーと飲んだ時、彼女が行っていたんだけど』
「え、そんな美味しい話、何で持ってきてくれなかったんですか」
『まあ、聞け。彼女の一言が耳に残ってるんだ』
「どんな一言なんですか?」
『「みんな売らないんだもん」って』
「・・・それって、利益確定しない、ってコトですか?」
『そう。含み益が出る人ってけっこう多いんだけど、みんな欲の皮が突っ張って、結局損切りするか、塩漬けにするんだって』
「あーーーー」
『そうやってほとんどの人が、マーケットから退場してゆくんだ』
「・・・自分も経験あります」
『そうだろ。強欲が目をくらませるんだ。それを戒める投資の格言もあるんだよ』
「どんな格言ですか?」
このコトバは、今も肝に銘じている。
ビギナーズラックでも、小さな利益確定でも、成功体験を積むことが、投資を続ける最大のモチベーションとなる。
まとめ
利益を出すことは、とても重要だ。
理由は様々だが、損が出て、気力が失せることがほとんどだろう。
もちろん損切りも大事で「見切り千両、損切り万両」の格言もある。
しかし損切りも、将来儲けるための糧とすることで、初めて生きてくる。
損を出し続けてマーケットに居続ける人は、ほとんどいない。
まず大切なのは、ビギナーズラックでも、小さい利食いでも良いから、とにかく成功体験を得ること。
その上で、株式投資で勝ち続けるには、運と実力が必要だ。
運はコントロールできないが、実力は付けることが出来る。
とにかく勉強をして、力を付け、利益を出さねば続かない。
先輩の話を聞いて、身が引き締まる思いだった。