- 歴史的な金需要の拡大:総金需要(OTC含む)が史上初めて5,000トンを超え、総需要価値は前年比45%増の5,550億米ドルという過去最高の水準に到達しました。
- 金価格の記録的上昇:2025年を通じて53回の史上最高値を更新。年間平均価格は1オンスあたり3,431ドル(前年比44%増)を記録しました。
- 投資需要の劇的な復活:ETFは801トンの記録的な流入を見せ、地金・コイン投資も12年ぶりの高水準となる1,374トンに達しました。
- 中央銀行の継続的な買い:年間863トンの購入を記録。過去3年の1,000トン超えからは落ち着いたものの、歴史的には依然として極めて高い水準を維持しています。
- 日本の投資意欲が急燃焼:国内の地金・コイン需要は前年比52%増の4トンを記録。特に第4四半期に爆発的な買い越しが見られました。
- 供給サイドの動向:金鉱山生産は3,672トンと推定され、過去最高を更新。リサイクル供給は価格高騰にもかかわらず3%増の微増に留まりました。
金需要が史上初の5,000トン突破!2025年ゴールド市場の「歴史的転換点」を読み解く
World Gold Council(WGC)の2025年通期レポートによると、2025年は金需要が5,000トンを超えるなど、ゴールド(金)市場にとって正真正銘の「歴史的転換点」となりました。
さらに2026年1月29日には、金1g=3万円という大台を超え、金価格上昇の勢いは止まりません。
日々、多忙な診療の中で資産形成を考える医師投資家にとって、この1年のデータは今後のポートフォリオ戦略を左右する極めて重要な意味を持っています。
53回の最高値更新!世界が「金」を求めた2025年の価格動向と未曾有の熱狂
2025年は、金価格が年間で53回も過去最高値を更新し続けるという、驚異的な強気相場となりました。
この熱狂を裏付けるように、年間の統計データもかつてない数字を叩き出しています。
- 総需要(OTC含む)が史上初めて5,000トンの大台を突破
- 総需要価値は5,550億米ドル(前年比+45%)という未曾有の規模に到達
- 第4四半期の平均価格が史上最高の4,135ドル/ozを記録
地政学リスクや経済の不確実性が高まる中、なぜこれほどまでに世界が「金」を求めたのか。そして、この「歴史的節目」を経て、私たちの資産防衛はどうあるべきか。
本記事では2025年の需給動向の要点を整理し、2026年以降の展望を読み解いていきます。
金の供給状況:2025年は過去最高、鉱山生産が牽引するも価格高騰へのリサイクル反応は限定的
金の供給は、鉱山生産とリサイクル、あとわずかですが生産者のヘッジに分類されます。
2025年の総供給量は、前年比1%増の5,002.3トンとなり、速報値では1970年以来の最高値を記録しました。
| 供給項目 | 2024年 (トン) | 2025年 (トン) | 前年比 (y/y%) |
|---|---|---|---|
| 鉱山生産 | 3,650.4 | 3,671.6 | 1% |
| 純生産者ヘッジ | -53.8 | -73.6 | – |
| リサイクル金 | 1,365.3 | 1,404.3 | 3% |
| 供給合計 | 4,961.9 | 5,002.3 | 1% |
鉱山生産:3,672トンと過去最高を記録(カナダ・オーストラリアが大幅増産)
3,672トンという数字は、2018年の記録(3,663トン)をわずかに上回る過去最高水準です。カナダ(+15%)やオーストラリア(+15%)などの増産が貢献しました。
リサイクル:金価格44%上昇でも「わずか3%増」に留まった理由と投資家心理
金価格が44%も上昇したにもかかわらず、供給の伸びは3%と比較的緩やかでした。これは、将来のさらなる価格上昇への期待や、経済的な困窮による売却が少ないことによる、「売り急がない投資家の心理」を反映したためと分析されています。
金の需要状況:2025年の地殻変動、記録的な「投資需要」がジュエリー需要を圧倒
金の需要としては、ジュエリー、投資、中央銀行、工業、4つに大きく分類されます。
2025年は投資需要が劇的に伸びた一方で、価格高騰のあおりを受けたジュエリー需要は減少するという、対照的な動きが見られました。
価格が爆上がりしたことで、宝飾品としては「高嶺の花」になりつつも、資産としては「今すぐ欲しいお守り」としての地位を固めた1年だったようです。
| 需要項目 | 2024年 (トン) | 2025年 (トン) | 前年比 (y/y%) |
|---|---|---|---|
| ジュエリー消費 | 1,886.9 | 1,542.3 | -18% |
| 投資 (合計) | 1,185.4 | 2,175.3 | 84% |
| – 金地金・コイン | 1,188.3 | 1,374.1 | 16% |
| – ETFおよび類似製品 | -2.9 | 801.2 | – |
| 中央銀行および公的機関 | 1,092.4 | 863.3 | -21% |
| テクノロジー (工業用) | 326.2 | 322.8 | -1% |
| 金需要 (合計 / OTC除く) | 4,630.6 | 4,999.4 | 8% |
ジュエリー:価格高騰で減少した需要と、過去最高1,720億ドルに達した「消費価値」の乖離
価格高騰による「手が出しにくい」状況から、世界的に販売ボリュームが減少しました。インド(-24%)や中国(-25%)といった主要市場での落ち込みが目立ちます。しかし、金額ベースでは過去最高の1,720億ドルを記録しており、消費者の意欲自体は衰えていません。
投資(バー・コイン、ETF):12年ぶり高水準のバー・コインと、2024年の流出から劇的な復活を遂げた金ETF
現物としてのバー(延べ棒)・コインと、証券化されたETFが主たる投資需要です。
バー・コイン
前年比16%増の1,374.1トンとなり、12年ぶりの高水準です。
特に高い需要を示したのは中国(431.7トン:前年比28%増)とインド(280.4トン:前年比17%増)で、2025年の世界全体のバー・コイン需要額(1,540億米ドル)の半分以上をこの2カ国が占めています。
ETF(上場投資信託)
2025年の「主役」と言えます。2024年の流出(-2.9トン)から一転し、801.2トンもの記録的な流入を記録しました。
2025年に金ETF(上場投資信託)の需要が最も高かった地域は北米です。世界の年間ETF需要増加分の半分以上が北米のファンドに流入しました(+446トン、510億米ドル)。
一方アジアも、2番目に強い伸びを示しました(+215トン、250億米ドル)。特に中国の上場ファンドの保有量は年間に2倍以上(+133トン)となり、インドも8ヶ月連続の流入で年を終えました。
中央銀行:金買いは「歴史的高水準」を継続:ポーランドが世界最大の買い手として台頭
外貨準備として、中央銀行は金を保有しています。ここ数年は1,000トンを超える量を購入してきました。
2025年は過去3年間の1,000トン超えという異常なペースからは落ち着きましたが、依然として歴史的な高水準(863.3トン)を維持しています。ポーランド中央銀行が102トンを購入し、最大の買い手となりました。
中央銀行は保守的です。2025年の金価格急上昇により慎重な購入ペースとなり、購入量が減少したと考えられます。
工業用:AI(人工知能)ブームが支える電子機器向け金需要と、高価格によるコスト削減の現状
金は半導体の原料としても使われます。
AI関連の電子機器需要は好調でしたが、従来のコンシューマー向け電子機器の不振やコスト削減(金の節約)により、全体としては横ばい(-1%)となりました。
日本国内の金市場:円安が生んだ「1g=20,000円超」時代と個人投資家の動向
日本市場は、歴史的な円安と国際価格の上昇が重なり、円建て金価格が「目もくらむような(dizzying)」高値圏で推移したことが、供給・需要の両面に大きな影響を与えています。
ジュエリー:日本でも進む「アセット・ジュエリー」へのシフト:宝飾品を賢く資産として持つ選
記録的な金価格の高騰により販売ボリュームは抑制されたものの、日本では資産性の高い製品が市場を支える独自の動きが見られました。
- 需要量:通期13.5トン、前年比11%の減少。
- 市場の特徴:世界的な需要減退の中でも、他国に比べ比較的底堅い(resilient)推移。
- 資産的側面:手数料が安く資産性の高い「アセット・ジュエリー(プレーンなチェーン等)」が需要を牽引。
- 価値ベース:価格高騰により、日本円ベースの需要価値は過去最高の15億米ドル(前年比29%増)を記録。
投資(バー・コイン):国内金価格2万円突破で品不足に!日本の個人投資家がバー・コインへ殺到した背景
2025年の国内個人投資は、1gあたり2万円突破という歴史的な節目を背景に、第4四半期にかけて爆発的な買い越しを記録しました。
当時は貴金属店に行列が出来るなど、まさしく金ブームが起きました。
- 需要量:通期4.0トン、前年比52%の大幅増。
- 第4四半期の急増:10〜12月だけで3.1トンの大幅買い越しを記録し、投資意欲が急燃焼。
- 価格の影響:国内価格が1gあたり2万円を突破し、一部小売店で在庫切れが発生するほどの過熱ぶり。
- 双方向の取引:高値圏での利益確定売りも継続しており、活発な中古市場の動きも並行。
ETF:アジアの金ETF市場を牽引する日本人投資家:世界の流動性へ寄与する存在感
日本の投資家による金ETFへの関心は極めて高く、アジア全域における保有量増大を牽引する主要なプレーヤーとなっています。
- 流入動向:世界の金ETFエコシステムに対し、日本の投資家から「かなりの流入(sizable inflows)」を記録。
- アジア市場での立ち位置:中国・インドと並び、アジア全体の保有量増大に大きく貢献。
リサイクル(供給):記録的円安で活発化する国内リサイクル:高齢化社会と「遺品整理」が支える供給増
歴史的な円安と金価格高騰が重なったことで、遺品整理や利益確定を目的としたリサイクル供給が先進国市場の中でも顕著に増加しました。
- 供給状況:円建て金価格の記録的高騰を受け、国内のリサイクル供給は健全に増加。
- 高騰要因:円安とドル建て価格の上昇が重なり、国内価格が「目もくらむような高値(dizzying heights)」に到達。
- 社会的要因:高齢化に伴う遺品整理や、相続されたジュエリーの売却も供給増の一因。
【まとめ】金需要5,000トン超えの節目に、私たちが再定義すべき「資産の持ち方」
2025年の金市場を振り返ると、総需要(OTCを含む)が史上初めて5,000トンを超えたことは、歴史的な大きな節目と言えるでしょう。
年間を通じて53回も最高値を更新し、年間平均価格が前年比で44%も上昇したという事実は、金の市場価値が新たなステージに突入したことを物語っています。
今回のレポートを読み解き、今後の展望をまとめます。
2026年予測:米国債への信認低下と地政学リスクが招く「ゴールド新時代」への備え
レポートでは、地政学的な緊張や実質金利の下落が金需要を支える主因として挙げられています。
これに加え、個人的な見解としては、米国債券への信認低下がさらに注目されることで、金価格が予想を超えて急騰するシナリオも十分に考えられます。
実際に、中央銀行が外貨準備に占める金の割合を1990年代初頭の水準まで戻しつつある動きは、ドル一辺倒からの脱却を示唆しています。
「無保険」のリスクを回避せよ:なぜ今、ポートフォリオに金を入れない選択は危ういのか
現在のように株式市場が高割安感を示し、債券市場のボラティリティが高まる中では、ポートフォリオに金を含めないことは資産保全の観点からはもはやリスクでしかありません。
金は、他の資産が崩れた際の効果的な分散投資先(ディバーシファイアー)としての地位を確固たるものにしています。
金は「高値」ではなく「新基準」へ:長期強気相場における一時的な調整は絶好の好機
「高値掴み」を懸念する声もありますが、中長期的な強気相場(上昇トレンド)の中では、現在の価格すら「振り返れば今が一番安かった」となる可能性が高いでしょう。
もちろん、市場全体の崩壊に伴う一時的な投げ売りや、利益確定によるプルバック(価格調整)は起こり得ます。しかし、中央銀行の継続的な買い支えが価格の下支え(アンカー)となっており、中長期的には右肩上がりの推移が期待されます。
多忙な医師の富を守る「不変の価値」:時間を味方につけるゴールド投資のすすめ
日々の診療で忙しい医師にとって、常にマーケットを監視し続けることは困難です。だからこそ、安定した価値を持ち、地政学リスクへのヘッジとなる「金」の存在が光ります。
「今からでは遅すぎる」ことはありません。大切な資産を守り抜くために、まずはポートフォリオの数%からでも金(ゴールド)を組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか。ETFや現物など、自分に合ったスタイルで「守りの資産」を固めておくことが、将来の安心につながるはずです。
マンガですが、金投資のイロハがぎっしりつまっています。
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