こんにちは。山のクマです。
ネットで「医者」「腕時計」と検索すると、「医者には高級時計がお勧め!」といったお店のコラムや、「そもそも医者は腕時計をつけない」と書かれたブログ、はたまた「医者には高級時計は不要!」などの記事が出てきます。
出てくる検索結果は多種多様で、それはそれで良いのですが、実際どの時計を買うか考えている研修医や、医者へのプレゼントを考えている人は、悩んでしまうと思います。
実際に高級時計をしている医者はとても少なく、多くの人はごく普通の時計をはめています。ただ、外科などは腕時計を外すことが圧倒的に多いため、「医者は腕時計をつけない」という誤解が生まれてしまうと考えます。
また、医者は高給取りのため「高級時計をつけている」というイメージが先行していると思われます。
このページでは、どのような腕時計が医者にお勧めか、医者の時計事情、また医者と高級時計の関係について、現役内科医の目線で書きたいと思います。
医者の仕事では、セイコーやシチズンの秒針つきのクオーツ時計がおすすめです
いきなり結論です。実際周りを見ても、多くの医者は国産クオーツのアナログ時計を使っています。なぜなら、一番医者にとって便利だからです。
例えばこのような時計ですね。
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これは私が使っている時計ですが、とても見やすく、軽いため、重宝しています。一度不具合があったのですが、セイコー本社とネットでやりとりして、速やかに対応してもらえました。このような点でも安心して使えるのが、国産メーカーです。
なお、お好みで金属バンドでも良いでしょう。
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では、医者は仕事で腕時計をどう使うか、具体的に見てみましょう。なぜ国産クオーツ時計がおすすめか、わかると思います。
患者さんを診察する時
外来や病棟を回診する時、患者さんの状態を診るため、脈や呼吸の様子を観察します。15秒から1分くらいの時間でみるため、秒針つき時計が最も便利です。
救急・災害医療
緊急の場面で患者さんの状態を判断するときは、脈、呼吸数、爪の色を素早くチェックします。
看護roo![カンゴルー]:トリアージ(START法)
そのため、腕時計は必要なアイテムです。DMAT(ディーマット:災害派遣医療チーム)の隊員にも聞いたのですが、やはり秒針が付いた腕時計を使うそうです。メーカー、ブランドは問いません。
ただ、これは自分の経験ですが、回診中に患者さんの心臓が止まり、胸骨圧迫(心臓マッサージ)をやった事があります。患者さんは助かったのですが、つけていた機械式ドレスウォッチは止まってしまいました。強い衝撃で歯車が外れたためです(修理で直りましたが・・・)。
やはり緊急時は、クオーツ時計が安心して使えます。
臨終の時
患者さんの死亡時刻を確認するため、時計は必要です。見るのはなぜか、部屋の壁掛け時計ではなく、医者の腕時計なんですよ。
なお、死亡時刻をプラスチックのデジタル時計で確認したところ、家族からクレームが入ったと、ネットの記事で出ていました。人の命を安っぽく扱ったと、思われたのでしょうね。
死亡時刻を宣言することはとても神聖な行為なので、クラシックな腕時計が良いと思います。
学会出張の時
電車や飛行機の時刻確認、自分の発表時間の確認など、腕時計無しでは、いられません。発表の残り時間を確認する事も考えると、アナログ時計が便利です。
しかも学会発表は背広のことが多く、オーソドックスな時計でないと雰囲気が合いません。
以上が、医者が腕時計を必要とする代表的な状況です。ただ、医者として常に腕時計をつけているかというと、そうではありません。
やはり医者は、腕時計をはめないことも多い
仕事柄、腕時計を外さなければならない場面は確かに多い。代表的な場面は次の通りです。
手を洗う時
基本的には患者さんを1人診察したら、手を洗います。それも手首まできちんと。腕時計は邪魔になりますよね。感染症専門の先生は、腕時計をつけない人も多いです。
手術室に入るとき
腕時計は、麻酔科以外は更衣室に置いていきます。外科系の先生は手術室に朝から晩までこもることも多いため、腕時計はつけない人もいるようです。
最近では内科も手術室で治療をやる事も多く、似たような状況になっています。
処置をするとき
膝にたまった水を抜く、切り傷を縫うなど、病棟や外来での処置はよくやります。処置は患者さんの皮膚を消毒して、とてもきれいな手袋をはめて行うため、腕時計は外します。
このような状況のため、医者はごく普通の腕時計で十分と感じることが多いのです。
なぜ医者は、高級時計をしないのか?
この問いには「医者は高給取りなのになぜ?」という言葉が隠れているのでしょう。高級時計をはめない理由には、やはり「医者である」という事が、大きく関わります。
ロレックスでもセイコーでも、時刻を見る機能は同じ、と割り切る人が多い
医者の多くは、理性的に物事を考えます。一種の職業病ですね。腕時計については「時間を確認するのに、高い金を払う必要はない」「機械式よりクオーツの方が正確」と思っている人が多く、高級時計には興味が向きません。
患者さんの目があるため、高級時計はしない
患者さんやその家族には、医者に敵意を持った人もいます。医者は「赤ひげ」でなくてはならぬ、と思い込んでいる人もいます。そういった人たちには、つけいる隙を与えない方が良い。高級腕時計は良くも悪くも目立つため、普通の時計が医者自身を守ることになります。
医者は時計でステイタスを示す必要がない
「医者である」ということだけで自分に誇りが持てるため、余計な装飾品は必要としない、と考える人もいます。またビジネスマンは、スーツ、靴、腕時計が仕事着ですので、高級時計で自分をアピールすることもあるでしょう。
しかし医者の仕事着は「白衣」や「術衣」です。そこそこの腕時計をつけていれば、OKです。
医者は着るモノに無頓着
男性医師の普段着を見たことありますか?「おしゃれだなー」という人は、ほとんどいません。多くは、「うわ、ダサい!」と叫びたくなるような服装をしています。でも、いい雰囲気を醸(かも)し出しているんですよ(笑)。
時計もおしゃれアイテムの一つなので、ファッションに興味のない人は、腕時計にも興味ありません(まれに一点豪華主義で、高級時計をしている人もいますが・・・)。
医者が好むのは、男性は外車、女性はバッグ、そして男女ともグルメ!
男性医師は、車には興味を持つ人が非常に多い。医者はバイトで複数の病院に行くことも多いため、良い車は実益も兼ねます。周りの女性医師の場合、着るモノやバッグにお金をかける人が多いです。
そして、男女を問わず、医者はおいしいモノが大好き。知り合いが集まると、必ずおいしいお店の話で盛り上がります。旨いモノ、くるま、バッグにお金を使うと、腕時計にまでは回らないですよね。
高級時計を持っている医者は、どういう人か?
必ずしも、高給取りだから、というわけではありません。自分の周りにも高級時計をつけている医者はいますが、あるパターンが存在します。
結納返しで高級時計をもらう
これは、非常に多い。結婚の相手方からロレックス、オメガ、カルティエなどをもらい、医局のパーティーではめてくる人がいます。周りから、いじられます(笑)。うらやましい限りですが、医者本人の給与は、特に大学病院勤務だと、あまり高くありません。
腕時計マニア
一般の人と同じように、医者の中でも高級時計に興味を持つ人がいます。彼らはローンで買い、支払いのためにバイトを増やす、となるケースが多い。これはこちらの記事で書いた「高収入マインド」になりますね。
成功した開業医
最もイメージしやすいのですが、医者全体の中では少数派です。しかし彼ら・彼女らは高収入・高支出で、資産が少ない事もよくあります。最近は医院経営も大変なため、開業医といえどもシチズンクオーツをはめていたりします。
まとめ
以上、医者の腕時計事情を公開してきました。なお、医者には磁気に強い腕時計が必要というイメージもありますが、そのようなことはありません。
医療現場で最も磁場が強いのは、MRIの周りです。ただ、こちらのサイトにあるように、クオーツ時計は磁気の影響をほとんど受けません。
一般社団法人 日本時計協会: 耐磁性能
また、MRIの部屋に入るときには、時計をはずします。
腕時計は医者の仕事に必要なモノですが、聴診器と同じように単なる道具です。そこら辺に置いておいたり、最悪どこかに置き忘れ、探し回ることもあります。あまり高くない、ごく普通の、秒針つき時計が一番良いのです。
プレゼントなどの時には、どうか参考にしてください。