こんにちは、山のクマです。
日本株の中でバリュー(割安)株を見てみると、金融機関が多い印象です。PBR(株価純資産倍率)が低く、配当利率が高いため、お得な印象で、買い時と思えました。
実際こちらのサイトでは、地銀の研究を行っています。
こちらのブログで書いたとおり、MMTの行き着く先は国債価格の下落です。またコロナ禍で倒産件数が増えると、銀行の貸し倒れも増えます。
今回はメガバンク株に自己資金を投じて良いか、考えてみました。ポイントは「安全性」。国債リスクと貸し倒れリスクを研究しました。
プロのアナリストから見ると笑止千万の内容となっていますが、一個人投資家の戯言と、お許しください。
結論から言うと、
・三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)は国債リスクを
・三井住友フィナンシャルグループ(三井住友FG)は貸し倒れリスクを
・みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は両方を
抱えています。
銀行のビジネスモデル
銀行のビジネスモデルは、以下のサイトに詳しく載っています。
金融業界とは?業種別にビジネスモデルを徹底解説!:en-courage
一言でいうと、
「自己資金の何倍ものマネーを集め、会社(貸出金)や国(国債)に貸し付け、利益を得る」モデルです。
銀行の場合、我々の預金が、集めた資金です。例えば自己資金10兆円に対して預金90兆円の、合計100兆円を運用します。
運用に失敗すれば、銀行危機です。
国債や貸出金のリスク
国債は価格が一定ではありません。「時価」で毎日取引されています。
インフレになると国債の利息も上昇し、その結果価格は下がります。「利率と価格は逆に動く」のが、国債のポイントです。
貸出金は、企業が倒産すると帰ってきません。そのため銀行は一定量「貸し倒れ引当金」を積んで、倒産に備えています。
「国債を多く持っている」「貸倒引当金が少ない」銀行は、インフレや企業倒産により、運用に失敗する可能性が高くなります。
貸出金、貸倒引当金、有価証券
今回の研究では、
1)どの程度国債を含む有価証券を持っているか?
2)貸倒引当金は貸出金の何パーセントになっているか?
に注目しました。
2020年3月を基準として、同年9月のデータをみています。なお、比較のためアベノミクスが軌道に乗ってきた2015年3月のデータも、参照しています。
単位は百万円です。括弧内は、貸出金に対する貸倒引当金のパーセントです。
MUFG
2020/3/31
有価証券:65,555,127
貸出金:109,114,612
貸倒引当金:704,641(0.67%)
2020/9/30
有価証券:75,005,468
貸出金:108,477,009
貸倒引当金:1,007,128(0.93%)
有価証券は半年で10兆円プラスとなっており、特に日本国債が増えています。
一方、貸出金は減少しているにもかかわらず、貸倒引当金は増えています。この割合は、2015年3月と同レベルかやや多い状態です。
2015/3/31
貸出金:109,368,340
貸倒引当金:995,784(0.91%)
三井住友FG
2020/3/31
有価証券:27,128,751
貸出金:82,517,609
貸倒引当金:479,197(0.58%)
2020/9/30
有価証券:29,190,464
貸出金:84,516,005
貸倒引当金:564,094(0.66%)
有価証券は、この半年で2兆円の増加。
一方、貸出金は2兆円増え、貸倒引当金も増えています。しかし、2015年3月は、もっと引き当てていました。
2015/3/31
貸出金:73,068,240
貸倒引当金:671,248(0.88%)
みずほFG
2020/3/31
有価証券:34,907,234
貸出金:83,468,185
貸倒引当金:424,446(0.50%)
2020/9/30
有価証券:43,314,534
貸出金:86,501,633
貸倒引当金:477,516(0.55%)
有価証券は、この半年で約9兆円の増加。
一方、貸出金は約2兆円増え、貸倒引当金も増えています。しかし、2015年3月は、もっと引き当てていました。
2015/3/31
貸出金:73,415,170
貸倒引当金:525,486(0.72%)
3行の比較
MUFGは、コロナ禍で返済不能に陥る企業が増えると見越していますね。そのため、5年前と同程度の貸倒引当金を積んでいます。企業貸出で稼げない分、有価証券で利益を取ろうとしています。
三井住友FGは、積極的に企業に貸し出しています。しかし5年前の引当率より低いため、不良化のリスクをあまり見込んでいないようです。
みずほFGは、貸し出しと有価証券の両方で、利益を稼ぎだそうとしています。ただ、返済不能に対するリスクは、あまり見込んでいません。他の2行に比べても、同行の5年前に比べても、引当率は低くなっています。
まとめ
以上から、「リスク」という点では、
・MUFGは国債リスクがある
・三井住友FGは企業倒産リスクがある
・みずほFGは国債リスクと企業倒産リスクの両方がある
と言えます。
MMTが進んだ場合、全てのメガバンクにリスクが降りかかることになります。うーむ、手出し無用かな。投資は難しいですねー。