こんにちは。山のクマです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はワクチンが普及し、収束の段階に入ってきています。
新しい感染症のため、今まで手探りの状態で対応してきました。
ようやく様々なデータは蓄積されてきていますが、まとまった情報がなかったのが現状です。
そんな中、新型コロナ データで迫るその姿: エビデンスに基づき理解する(山のクマおすすめ↓)が発売されました。
早速読みましたが、流布している情報とは違った面もみえ、とても参考になります。
今回はこの本の中から、外来指導で使えるよう、重症化リスクを取り上げます。
リスクとなる基礎疾患
p63に重症化・死亡のリスクとなる疾患が載っています。主なモノを挙げます。
・心不全:+17%
・吸入ステロイド剤(ICS)を使っている気管支喘息:+13%
・気管支喘息以外の肺疾患:+63%
・自己免疫疾患:+19%
・コントロール良好な糖尿病:+31%
・コントロール不良な糖尿病(HbA1c≧7.5%):+90%
うーむ、ICSがリスクですか。本の中でも考察しており、まあ理屈はわかりますが・・・。
でも、ICSはやめないですよね。
糖尿病はコントロール不良でリスクが増大するので、患者指導に使えそうです。
別のページに書かれているのですが、高血圧は死亡率と相関しません。意外でした。
高血圧症はリスクと報道されていましたが、高齢者のリスクに引っ張られていたようです。
むしろ高コレステロール血症が死亡率と良く相関しています。
喫煙リスク
男性でははっきりしませんが、女性ではタバコが明らかな重症化リスクです。
なぜ男性で死亡率と相関しないのかは、わかっていないようです。
でも喫煙は肺気腫や慢性気管支炎などの肺疾患のリスクなので、COVID-19のリスクにもなりえます。
禁煙は必要でしょう。
過体重・肥満のリスク
BMI≧25はCOVID-19の発症率、死亡率を上昇させます。
リスクにも生活習慣病が多いことから、COVID-19は動脈硬化の強いヒトで、より重症化しやすいようです。
それにしても肥満で発症率も上がるとは意外でした。
運動不足のリスク
運動不足も発症率、死亡率とも上昇させます。
これは納得です。
患者指導に大いに使えそうです。
まとめ
これらのデータは疫学研究のため、リスクを減らすことが予後改善につながるかどうかは、まだわからないところです。
でも介入試験は難しく、これらの結果をもとに、患者指導を行う必要があります。
各データをみると、COVID-19は生活習慣病の様相を呈している感染症です。
このことが、欧米諸国を直撃した原因の一つです。
本のトピック
今回紹介できませんが、とても面白い内容も取り扱っています。
・ハードロックダウンをしなかったスエーデンの現状は?
・都道府県による死亡率の違いは、PCR陽性率と人口あたりの救命救急センター数
・緊急事態宣言は有効だったか?
・第二波、第三波には室内換気が大きく影響している
・世界各国の発症率、死亡率には、ネアンデルタール遺伝子、肥満率、高齢化率の3つが大きく関与している