世の中はコロナ患者も減少傾向で、
景気拡大は嬉しいことです。
でも、静かに日本売りが進行しています。
え?何のこと?
主要メディアでは伝えられていませんが、毎日マーケットを眺めていると、怖くなってくるんですよ。
日銀vsマーケット
6月13日から日本長期国債(JGB)の先物に売りが入っています。
日本市場が閉まった後、欧州や米国の取引時間で売られています。
この時間帯は参加者が少なく、少しの取引量で大きく値段が動きます。
今のところ朝には価格を戻していますが、
日本売りが始まっています。
原因は?
根本的なところで、日本の経済が上向いていない、貿易収支が赤字、などが挙げられますが、もっとテクニカルな部分なんです。
日銀の指し値オペ
日銀は長期金利を0.25%に抑えるため、無制限に国債を買う方針にしています。
つまりJGBが値下がりしないように買っているんです。
でも長期金利を押さえ込むと、さらにインフレが進行します。
経済原理からすると、インフレの時には中央銀行は利上げしなければならない。
でも日銀はやっていません。
2ヶ月連続で日銀の目標を上回っています。
インフレが進んでいる今、マーケットは日銀が利上すると読んで、売っているのです。
スイス中央銀行の利上げ
さらにスイスの動きが拍車をかけました。
スイスも日本同様、金利を低く押さえ込んでいました。
それでもまだマイナス金利なのがすごいですが・・・。
コレを見たマーケットは、日本も利上げをせざるを得ないと考え、JGB売りを仕掛けているんです。
「いやいや、GDP第3位の日本が負けるわけない」と思うヒトが多いでしょう。
でも過去には、中央銀行が機関投資家に負けた事例が存在します。
大英帝国vsソロスファンド
時は1990年。イギリスはユーロに参加すべく、自国通貨を一定に保つよう為替介入していました。
しかし1992年の景気減速から、ポンドを買い支えることが徐々に困難になってきます。
同年9月14日、ソロスファンドは大量のポンド売りを仕掛けます。翌15日、イングランド銀行は為替介入をあきらめ、ユーロ参加を断念しました。
大きな世界マーケットの中では、中央銀行であっても、いちプレーヤーに過ぎないのです。
今後どうなるか?
先が読めない、というのが正直な感想です。
ヘッジファンドはレバレッジ(借金)を効かせて、JGBを売っています。
金利はどうなるか?
日銀が低金利を維持したら?
金利は保たれますが、その代わり円安へと振れるでしょう。
FXの規模は国債先物よりさらに大きく、日本政府が為替介入してもかないません。
ただ円安も要因となったインフレで、国民は生活が大変になっています。
さらなる円安になったら、日銀への風当たりはさらに強くなると思います。
日銀が利上げを行ったら?
そのまま金利上昇、国債価格下落となります。
ドル円は一旦円高に振れると思います。
でも日銀って、発行したJGBの約半分を保有しているんですよ。
JGB下落により日銀の含み損が大きくなり、債務超過が意識されるかもしれません。
結局同じ?
どちらに転んでも、日本売り=株安・円安・債券安が進む可能性がある。
あーあ。
専門的にはなりますが、日銀が国債利回りをムリヤリ低く誘導しているため、先物の取引高が少なくなっています。
そのため、先物を使ったヘッジ(保険)が効かなくなり、国債の消化に不安が生じています。
国としては国債は是が非でも金融機関に買ってもらわなければならない。
日銀はいずれ、無茶な金利誘導をやめると思います。
ドクターは要注意!
まずインフレで生活費は確実に上昇します。
高収入・高支出を続けて行くと、医者も生活苦に陥ります。
今後日本売りが止まらず、日本政府の財政破綻が意識されると、緊縮財政が敷かれるようになります。
コレは診療報酬費下げの強い圧力となってくるでしょう。
高収入を謳歌していた医者も、賃金が低下する可能性が!
本当に日本売りが進むのか?
理論上は、可能性があります。
でもマーケットは生き物。突発的な出来事で、どのような方向に行くか分かりません。
ウクライナ戦争も、本当に起こるとはほとんどのヒトが予想していなかったでしょう。
日本売りは起きないかもしれません。
そうであれば最高です。
でも、もし最悪のことが起こったら、準備をしていないドクターはひどい目に遭います。
今から備えるのが吉です。
まとめ
日本財政破綻の可能性を考えていたとき、様々な反対意見を聞いて、苦々しく思っていました。
「JGBはほとんど海外勢が買っていないので、外国から売られることはない!」
自称評論家はメディアで吠えていました。彼は国債先物を知らなかったのでしょう。
「日本は資産をたくさん持っているから、デフォルトしない!」
自称専門家は「国家は破綻する」を読んでいなかったのでしょう。
「デフォルト=支払わない」だけではないんです。歴史的に自国通貨で発行した国債は、「支払わない」という選択をせず、高度インフレにしています。
「MMTでは米国や日本は通過をいくら発行しても大丈夫」
MMTではインフレが進行したら増税でマネーを回収すると主張しています。でも、今の状況で増税できますか?MMTは所詮机上の空論ではないのですか?
日本政府は財政破綻しないと、数多くの「専門家」達が熱弁をふるっていました。
彼らは投資家ではありません。でもJGBは投資家達によって売り買いされています。
投資家の視点で考えないと、マーケットの予測はできません。
自称専門家達の言うことを信じるのではなく、自分の頭で考えて行動することが、とても大切と思います。