こんにちは、山のクマです。
足のむくみで来院する患者さんは、結構います。
多くは筋ポンプ不足による浮腫なのですが、たまに下肢静脈血栓症(VTE)を鑑別しなければならないときがあります。
また阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などでは、活動性不足から避難者にVTEがみられ、肺動脈血栓症になってしまうヒトが出てきました。
教科書的にはD-ダイマーや造影CTが有名ですが、開業医レベルや避難所では、簡単には行えません。
この時活躍するのが、超音波検査(エコー)です。今回はベッドサイドで行うVTEエコーを取り上げます。
エコーの操作方法
プローブは何でも良いです。当院ではリニア(血管用など)を使っていますが、コンベックス(腹部用など)、セクタ(心臓用など)でも代用できます。
ドップラーカラーはあった方が良いですが、なくとも大丈夫です。
患者さんの下肢を露出させ、仰向けにします。下着はそのままで。そけい部にゼリーを塗り、プローブを当てます。周りの目があるときには腹ばいにして、膝窩でも良いでしょう。
走査していると動静脈が見えてきますので、横断面にします。
その状態でプローブで軽く圧迫します。圧迫により、血管がつぶれるかどうかがポイントです。
静脈血栓がない場合
左の図が圧迫前、右の図が圧迫後です。静脈(V)はつぶれ、動脈(A)は内腔が保たれています。
この写真ではドップラーカラーを入れていますが、ドップラー無しでもOK。圧迫とともに、静脈がつぶれて行く様子が観察できます。
静脈血栓がある場合
先ほどとは高さが異なるため、動静脈の位置が逆になっています。
動脈にはドップラーカラーが乗っていますが、静脈は血栓のためカラーが乗りません。また圧迫しても、静脈はつぶれません。
ドップラーカラーなしでも、圧迫による血管の反応から、血栓を診断することが出来ます。
まとめ
循環器医が行うVTEの検査は、足首の内果、膝窩、そけい部の3カ所でドップラーカラーを入れて診ますが、スクリーニングならそけい部か膝窩のどちらかで、ドップラーカラー無しで十分です。
ただ、最終的には救急部で、D-ダイマーや造影CTでVTEを確認する必要があります。
血管がつぶれる感覚は一度経験するとわかるので、むくみでVTEを心配している方に、やってみると良いでしょう。保険点数もとれます。
プローブを押してもつぶれない血管をみると、「ドキッ」とします。でも、その感覚が、患者さんの命を救います。