こんにちは。山のクマです。
最近、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが、金鉱株であるバリック・ゴールド株の一部を売却し、同時期にファイザー株を購入していたことが明らかになりました。
このコラムを見て、いろいろ思う事がありました。
今回の記事ではこのニュースを元に、個人投資家が取るべき金融資産投資戦略について、考えてみます。
結論から述べると、ロング-ロング(長期の買い)が、我々の勝てる戦略です。
事実確認
ブログの中では、次のように述べています。
バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが7-9月期に保有金鉱株(バリック社)の一部を売っていたことが判明した。
米国証券取引委員会(SEC)に提出した四半期保有銘柄情報開示(通称13F)による。今回発表されたのは9月末の保有残高である。
なお、バフェット氏は同時期に、ファイザー社株を購入している。
この時期はゴールドが高値であり、バリック株も高値でした。バフェット氏は利益確定したことになります。
なおバリック・ゴールド社については、こちらのサイトで確認ください。
【バフェット銘柄】ウォーレン・バフェットが新規購入したバリック・ゴールドとは:The Motley Fool
ファイザーとワクチン
既に様々な報道がなされていますが、ファイザー社製の新型コロナワクチンに、かなりの有効性が示されました。
ファイザーの新型コロナワクチン、確率90%超で感染防ぐ暫定結果:Bloomberg
ファイザーなどの新型コロナワクチン、「有効性90%超」とはどういう意味?:Newsweek
これを受け、ファイザー社株も上昇しています。一方、ファイザー社のCEOが同日株を売り、利益を上げています。
ファイザーCEOらも保有株売却、ワクチン期待で製薬株が急伸:Bloomberg
この記事では、あらかじめ指定した株価になったときに売却するよう、事前に指示されていたと書かれていますが、どうも額面通りには受け取れません。このような記事もあるからです。
米製薬大手ファイザーのCEO、開発中の新型コロナワクチンが有効という中間成果を発表した当日に持ち株62%を売却:BonaFidr
米国政府、ウォール街、バフェット氏
米国の金融取引は、如何に早く、如何に有利な情報をゲットしたかで、勝負が決まります。
これは伝統で、80年代の映画「ウォール街」でも、インサイダー取引が描かれています。
2008年に起きたリーマン・ショックでは、FRB(連邦準備制度:米国の中央銀行)関係者、投資銀行CEOがバフェット氏を巻き込んで、さまざまな取引を行っています。
「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」では、当時の様子が生々しく、また生き生きと描かれています。
リーマン・ショック・コンフィデンシャル→Amazon.co.jp
リーマン・ショックの前、リーマン側はバフェット氏に自社への投資を持ちかけています。その直後にFRBの幹部からバフェット氏へ、取引が上手くいくよう願っているとの電話が入ります。
ただリーマンについてバフェット氏は、財務諸表を検討した結果「不適格」と判断し、投資を見送っています。
またリーマン・ショック直後にバフェット氏は、ゴールドマン・サックス株の購入を行っています。しかも10%の利率の付く優先株で、かなり有利な取引内容でした。
これらのことから、米国政府、各金融機関、バフェット氏はホットラインでつながっており、より早く、より有利な情報を入手できることがわかります。
今、米国政府はコロナの流行を止めようと、必至になっています。ワクチン開発も急務です。
今回の件も、バフェット氏は米国政府もしくはファイザー社から何らかの依頼を受け、動いていた可能性が否定できません。
もちろん、バフェット氏は一流の分析技術を駆使して、ファイザー株購入に踏み切った可能性もあります。
個人投資家は資金、情報、分析技術において、最弱者である
機関投資家は、潤沢な資金、蜘蛛の巣のような情報ネットワーク、一流の分析技術を持っています。
それに対して我々個人投資家はどうでしょう?いずれにおいても最下層です。
機関投資家と同じ土俵で戦っては、勝負になりません。
コロナ窩における量的緩和
現在各国中央銀行はコロナ対策として、ものすごい量の通貨を発行しています。その現金がマーケットに流れ込み、株価は高値をつけています。
この状態では、ショート(売り)ポジションはキツい。いくら待っても下がらないのですから。
もともとショートポジションは資金的にも、精神的にも厳しい。しかし、当たると短期で莫大な利益が転がり込むため、投資家にとって麻薬的な魅力があります。
リーマン・ショックで儲けたファンドマネージャーたちの記録が、それを物語っています。
我々はどうしよう?
金も情報も分析技術も乏しい我々は、どのような投資戦略を行うと良いのでしょう?
唯一、対抗できる要因は、時間です。
機関投資家は、運用成績を発表する期限が決められています。場合によってはマイナスとなり、投資家からの資金引き上げの憂き目に遭います。
しかし個人投資家には期限がありません。また、市場の歪みを利用して安値を拾うことで、損失を少なく出来る可能性が広がります。
先物やデリバティブを用いたショートポジションは、レバレッジを掛けることが出来ます。しかし、量的緩和による資金がマーケットに流入している現状では、天井が見えません。
資金の少ない個人投資家は、追い証(追加証拠金)に追われて、取引の強制終了となる可能性が高くなります。
以上から、我々はロング-ロングな取引、つまり長期の買い取引が、機関投資家と戦える土俵となります。これもランチェスター戦略の一つです。
まとめ
以上、バフェット氏の取引から、個人投資家の戦い方を考察しました。
結局、こちらの本と同じ投資戦略となりますが、この方法は大変忍耐が必要です。簡単にはつぶれない、マーケットの歪みで安く放置された銘柄を拾い上げ、あとはひたすら待つ。
言うは易し、行うは難し。そのような戦略ですね。