こんにちは、山のクマです。
介護を受けている患者さんの中に、さまざまな問題を抱えた人がいます。
介護環境はヒト様々です。そのため、家族が要介護状態になったときのマニュアルが、存在しません。
全員、手探りで介護を行っています。
そのため、いざ介護が始まると、様々な問題点が噴出します。
なぜでしょう?
住宅建築に例えると、介護現場という建築物の下にある基礎、地盤が弱いためです。
では、基礎、地盤とは何か?介護をどのように考えたら良いか?
今回は家族の介護について、そのポイントと構造を考察します。
考察する前に、知っておくべきコトがあります。それは、要介護になったヒトは、家族に対してわがままになってしまうという現実です。
要介護者はわがままになってしまう
もともと穏やかだったり、周りに気を配っていたヒトでも、要介護者になると、わがままになってしまいます。
わがままにならないのは、重度の脳梗塞で寝たきりになってしまうヒトや、ごく一部の要介護者のみです。
なぜか。わがままになる理由があります。
一つ目の理由は、年齢による脳の変化です。高齢になると感情をコントロールする前頭葉が萎縮し、感情が前面に出て来るようになります。こらえ性がなくなるのです。
二つ目の理由は、年齢による身体の変化です。思うように動かなくなり、いらだち、不安が強くなり、周りに当たるようになります。
ヒトによっては要介護となり、全く別人になってしまったと感じます。それくらい、人格が変わってしまいます。
そのため家族は、要介護者のわがままに付き合う事となります。これが介護疲れ、高齢者虐待、介護うつの原因です。
介護者がすり減らないよう、最初からポイントを理解し、介護計画を立てる必要があります。
介護のポイントは
強固な介護体制を作るには、以下の4つが大切です。
1)愛情
2)時間
3)お金
4)介護現場
住宅に例えると、愛情が地盤、時間とお金が基礎、介護現場が建築物です。
ココを押さえておくと、問題が出たときに対処しやすくなります。
ポイント1:愛情
愛情とは、要介護者を大切にすることです。
もともとの親子関係、兄弟姉妹の間柄、親戚づきあいが良いと、介護計画も立てやすくなります。しかしココに問題を抱えていると、介護はまず上手くいきません。
親子関係が悪い、兄弟間の仲が悪い、うるさい親戚がいる・・・。家族内の問題は複雑です。
もし家族の間柄に問題があるのなら、最初から包括支援センターなどに打ち明け、相談する必要があります。「家の恥だから」と隠すと、介護は必ず問題を抱えます。
また愛情は、世間体や家族のエゴに振り回されることも多いものです。
「自分がガンバって介護するから!」と始めても、オーバーワークなら、要介護者を大切にしているとは言えません。
「施設に入れるのはかわいそう!」と遠い親戚からの忠告も、要介護者への愛情から出ているモノではありません。
要介護者を大切にすることを考えたら、家族で無理に背負うより、プロの介護者に任せて、家のヒトは愛情を持って接する方が良いです。
要介護者はわがままです。介護で疲れ切った家族が愛情を注ぐのは、困難です。
介護疲れの結果、要介護者を虐待する場面をたくさんみてきました。
住宅建築では、ゆるい地盤ならば地中深く杭を打つ、浮き基礎にする、などの工夫を最初から施します。
介護において愛情がゆるければ、時間とお金を初めから工夫する必要があります。
愛情を注ぐのは家族の最も大切な役割です。忘れないでください。
ポイント2:時間
介護には時間がかかります。どう解決するかは、それぞれの家族にゆだねられます。
家族全員が働いているなら、介護に使える時間はほぼゼロとなります。一方、時間に余裕がある家族がいれば、その人の時間を介護に配分することも可能となります。
しかし、介護に時間を割くことは、介護するヒトの時間を奪うことでもあります。
Time is Life。つまり、介護者の人生も奪うことになるのです。このことを認識していないヒトが、非常に多い。
わがままな要介護者に、自分の人生の一部を使う。大変困難なことです。
実は、時間とお金はトレードオフです。つまり、時間はお金で買えるコトがほとんどです。Time is Moneyということわざは、別の意味で通用します。
ポイント3:お金
介護にはお金がかかります。しかし、多くの人がこの事実を無視しています。
究極的には、愛情さえあれば、介護問題はお金で解決できます。
どの程度介護範囲を広げるか、どの施設に入るか。ほとんどの場合お金が制約となり、思うような介護が出来ないのです。これが現実です。
介護離職は最悪の手段です。不動産収入や株の配当などで十分な収入があるヒト以外、絶対してはいけません。
介護では、時間とお金はトータルで考えるべきです。
ポイント4:介護現場
多くの人が介護で思い浮かべるのは、ケアマネージャーと話し合う介護計画でしょう。
これは、愛情・時間・お金という地盤と基礎が整って、初めて可能になります。
また、これのみがアウトソース、つまり外に依頼できるモノです。
介護には特殊な技術が必要です。家族がやるより専門家が行った方が上手に出来ます。
TVや映画では家族がニコニコしながら介護していますが、演出と言うことを忘れないでください。
ほとんどのヒトは、わがままな要介護者に付き合い、疲弊し、険しい表情になっていきます。
たとえば入浴をみてみましょう。
高齢者1人を入浴させるのに、最低2人必要です。裸のヒトは、ベルトや服など、つかめるところがありません。しかも自分で動けないため、とても重いのです。
その結果、介護者は腰や膝を痛めます。
また、ほとんどのヒトは、要介護者の多くが入浴したがらないという事実を知りません。
風呂場まで誘導するのが、これまた大変です。むしろ入浴介助の方が楽だと話す介護者もいます。
まとめ
以上、介護のポイントをみてきました。
再度繰り返しますが、要介護者は家族に対してわがままになってしまいます。厳しい言い方ですが、これが現実です。
一人に介護を押しつけてはいけません。家族で役割を分担する必要があります。
主に介護を担うヒト以外は、時間、お金を出すなど、介護者・要介護者を含めた1人1人の幸せが最大になるよう、計画しましょう。
一部のヒトにしわ寄せが来ると、土台である「愛情」が崩れ、介護構造が崩壊しますから。