おかしい・・・、マーケットが不気味に静かだ。
今年の5月1日にファースト・リパブリック・バンクが経営破綻した後、複数の中小銀行が潰れた。
が、4ヶ月経った今、株価は平静を保っており、メディアも銀行不安については、だんまりだ。
あたかも銀行危機が消え去った雰囲気だ。
思い出す、そう、リーマン・ショックを。
あのときも破綻前夜は静かだった。嵐の前の静けさ。
今、何かが起きている。
が、市場の空気感だけでは真実は見えない。
わずかに出てくる報道を元に、現状を分析する。
と同時に、今できる対策も提示する。
コレはいち医師投資家の個人的見解です。間違っているかもしれません。投資は自己責任でお願いします。
米国のオフィス事情
2008年の大暴落は、不動産価格の下落から始まっている。
リーマン・ショック以降落ち着いた商業用不動産価格は今、上に伸びている。
特にコロナショック以降、急峻となっている。
が、2022年4月をピークに、急落している。
原因はコロナ禍による在宅勤務の増加だ。
入居者はいない、価格は下がる、不動産オーナーは青息吐息だ。
そこに追い打ちをかけるのが、借り換えだ。
恐怖の借り換え
不動産は一般的に、短期の融資を受けている。
長期だと売却時に不利なため、短い借り換えを繰り返す。
借り換え時はその時の金利になるが、コレが上がっている。
米国の金利上昇
FRBはインフレ沈静化を目的に、2022年4月から利上げをはじめた。
利上げのペースは緩めたが、未だに高水準だ。
金利上昇は不動産ローンも同じだ。
さて、オフィスオーナーに貸しているのはどこだ?
誰が貸している?
多くの銀行が融資している、が、特に中小の銀行が問題だ。
米国は日本と違って、担保を手放せば借金がチャラになる。
オフィスオーナーが「借金返せないので、物件を渡しまーす」と言えば、それで事は済んでしまう。
担保物権のビルやテナントを受け取った銀行は、ものすごーく困る。
だって、貸した金より受け取った物件価格が安いんだもの。
売ったら損が確定する、不良債権だ。
大丈夫なのか?
中小銀行の経営状態は?
多くが謎。少なくとも個人投資家は調べるのが難しい。
が、様々なFRBデータから推し測れる。
まず金利上昇で、米国債を担保とする証券(MMF)へ資金が流入している。
預金金利より高く、多くの米国民が資金を移している。
預金流出、銀行からマネーが逃げている。
銀行が貸し渋っていることを意味し、資金繰りに困っている様子が見て取れる。
加えてFRB(米国の中央銀行)が、銀行への緊急貸し付けをはじめている。
資金注入額は高止まりしており、銀行のマネー不足が透けて見える。
この3つから推論すると、預金流出で資産が減少した銀行は、貸し出しを減らし、中央銀行からの資金注入を受けて、何とか回っている。
上の見立てを支持する出来事が、先日あった。
ついに格下げ
以上2つは、銀行経営に赤信号が点ったサインだ。
さらに悪いことに、9月に入り、企業は一斉に社債を発行し始めた。
債券の供給が増え、価格は下落傾向。債券の下落は金利の上昇となり、借り換えの金利上昇を助長する。
そう、今まさに金利の再上昇が始まっている。
負のスパイラル、銀行経営者に同情する。
リーマン・ショックの再来か?
2008年9月15日だった。
リーマン・ブラザーズの破綻をメディアで知った。
「金融危機には発展しない」と米国当局は声明を出した。
が、2週間で大津波がウォール街のみならず、全世界を襲った。
当時、何が起きたのか、分からなかった。
その後の関連書籍では、水面下で金融マンが右往左往している様子が描かれていた。
読み終わって知った、銀行はヤバい情報をひた隠しにする業界だ。
2023年9月の今、データは危険信号を点滅させている、が、金融関連のニュースはごく少数だ。
カンが働く、彼らは隠している、今の状況はキケンだ。
まとめ
金融機関は危機の噂だけで、取り付け騒ぎとなる。
豊川信用金庫の事例は、とても興味深い。女子高生の噂が取り付け騒ぎへ発展した。
そのため、銀行は悪い材料をひた隠す。
メディアも忖度している。
リーマン・ショックを経て、この手の記事は眉唾で読むようになった。
現在の世界債務=借金は全世界GDPの約2.5倍と、2008年とは比べものにならないくらい大きい。
金融危機が起こると、投資家は一斉に株・債券・その他の資産を売り払い、現金を手にしようと血眼になる。
素早く売らないと、買う人がいなくなるのだ。
近いうち、金融資産は暴落する。可能性が高い。
この機会をモノに出来るのは、借り入れが少なく、現金を多く持っている人だ。
今できること、それは現金を積み上げること。
医者は高収入。節約が身についていれば、今からでも間に合う。
Cash is King。