こんにちは、山のクマです。
コロナ禍になり、クリニックの経営状況が悪化しています。
もちろんウチもそうです。
一時期よりは持ち直しましたが、まだまだコロナ前には回復していません。
さらに医療情勢を見ると、クリニック経営の未来は明るくないように見えます。
「以前より開業医は儲からない」
これは確かです。
でも本当に先行き真っ暗なのでしょうか?
実はまだまだ希望があると思っています。
今回は診療所経営の現状、そして展望を共有したいと思います。
コロナ禍による収益悪化
帝国データバンクが発表した2021年診療所の倒産は、前年比の1.8倍でした。
特に小児科、耳鼻咽喉科で顕著でした。また内科も厳しい状況です。
こんな中、コロナ融資の返済猶予期間が終わるところが出てきています。
業績が回復してこないと、地獄です。
先日来た患者さんも、銀行との間に入って、とてもストレスがかかると話していました。
今後返済の圧力が強まってくるでしょう。
保険点数改正の悪影響
開業医の多くは保険診療をしています。
そのため、経営は診療報酬改定に大きく左右されます。
コロナ検査の点数引き下げ
既にコロナ検査の点数が引き下げられました。
核酸検出(PCR)検査(委託) 1800点 → 700点
核酸検出(PCR)検査(委託以外) 1350点 → 700点
抗原検出検査(定性)600点 → 300点
抗原検出検査(定量)600点 → 560点
寝耳に水の引き下げで、慌てたところも多いでしょう。
特に問題となるのは「逆ザヤ」です。
試薬や検査キットの仕入れ値が、新しい保険点数より高い設定だったモノが多いのです。
点数引き下げ発表後はさすがに納入価を下げてくれましたが、
在庫分はマイナスです。
リフィル処方の決定
2022年春の診療報酬改定で、リフィル処方導入が決まりました。
詳しくはリンク先をご覧ください。
ザクっと説明すると、1回発行した処方箋が2回、3回と使える制度です。
例えば30日処方が3回使えるとすると、合計90日の処方が可能になります。
これは処方日数延長と同じであり、受診回数が減少します。
詳細はこれから発表されるでしょうが、経営への影響を分析する必要があります。
いろいろ国から説明があるでしょうが、
医療費抑制を目的としているとしか考えられません。
暗いニュースばかりではない
コロナ禍という突発的な出来事、点数引き下げなど、クリニック経営には逆風が吹いています。
しかし、個々の診療所にとっては明るい材料もあります。
院長の高齢化
日経ヘルスケア2021年11月号の記事によると、開業医の半数以上が60歳以上です。
院長の高齢化による閉院・廃院・解散が、今後増えてきます。
既存のクリニックは増患の大きなチャンスですし、
これから開業を目指すドクターは承継を狙えます。
人口の高齢化
高齢者が多くなれば、クリニックを受診する人も多くなります。
日本は、小児科、産科以外は患者が増え続ける構造なのです。
クリニックはまだまだやって行ける!
診療所経営の特徴を振り返ると、まだまだ伸びる余地はあります。
参入障壁は高い
先日保健所の監査がありました。
これ、定期的にあるんですが、ものすごく面倒くさいです。
前回の監査の時にはなかった法令が施行され、
そろえるべき書類が山のように増えています。
むちゃくちゃ規制の多い業界ですよね~。
でもポーターの競争戦略では規制業界は参入障壁が高く、やりやすいところです。
経営戦略を持っているクリニックはごく少数
医師会などで多くの開業医と話すのですが、
経営戦略を立てているところは皆無です。
通常のビジネスでは当たり前のことができていません。
そのため基本的な戦略を勉強すれば、簡単にトップに立てます。
今後の戦略ポイント
診療所経営のため、どのような視点が必要でしょう?
一人あたりの医療費は確実に減少
日本は生産人口が減るため、GDPは今のままでは上がりません。
その一方、病気が多くなる高齢者は増えます。
これでは一人当たりの医療費は減るしかありません。
漫然と患者さんを診ているだけでは、売り上げは増加しない時代です。
効率化は求められるが、それだけではない
コレは医療現場でも同じです。
一人あたりの医療費が下がってくる時代なので、
効率よく患者さんを診てゆく必要があります。
つまり、時間あたりの保険点数を最大限にする事がポイント。
診療科によって様々でしょうが、短時間で点数を稼ぐ工夫が求められます。
しかしそれだけではありません。
例えば高齢者は診察時間が長くなります。
効率だけを考えれば、短時間にさっさと終わらせた方が良いです。
しかし、高齢者ほど丁寧に診察するべきでしょう。
ナゼなら家族がついてくるから。
「お客さんがお客さんを連れて来ている」という認識が、大切です。
家族をきちんと診てくれた所に、自分も受診しようと思うんですね。
このように、幅広い視点が今後さらに求められます。
まとめ
様々に考察してみて、まだまだクリニックは繁栄できると確信しました。
しかし、今まで通りのやり方では成功できません。
診察だけをしたくて開業する先生も多いと思いますが、
院長が率先して経営の勉強をしないとダメな時代になりました。
自分もさらに精進しようと思います。