診療所経営

【成功する医院経営への道】マキャベリの「君主論」から学ぶ戦略

【成功する医院経営への道】マキャベリの「君主論」から学ぶ戦略
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「『君主論』に学ぶ?こいつはマキャベリストだ!」

必ず出る批判だ。

モッタイナイ。ヒトの本性を描いた名著なのに。

古典には読み方がある。知らなければ誤読する。

読み手には誤読の自由はあるが、それでは名著を生かせない。

ドクターには古典を読み解く知性が備わっている。はず。

「君主論」は開業医にこそ読んで欲しい。

スタッフをこき使おうというのではない。

クリニック経営のエッセンスがつまっているのだ。

「君主論」を読み解くには

多くの院長が経営に悩んでいる。

流布しているノウハウは、口当たりが良く取っつきやすいが、役に立たない。

何故なら「ヒト」への本質的洞察を欠いているから

いくら外装がキレイでも、骨格がヤワな家は長持ちしない。一方、

しっかりした土台と柱を持てば、お色直しをしながら何年も使える。

古典は、強固な躯体を持つ建築物だ。

時代背景によるリフォームを施せば、永遠に使える。

しかし、今風に読み解くには、知性を要する。

原文のまま、現代に置き換えずに読むから、的外れな非難が出るのだ。

では前提として、「君主論」が書かれた時代はどうだったのか?

「君主論」の時代

15~16世紀前半のイタリア半島は、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノ、ナポリ、教皇領など、いくつかの競合する都市国家に分かれていた。

これらはしばしば争い、権力を拡大しようとしていた。

時代を経るごとに、スペインをはじめとする外国の勢力に支配されるようになっていく。

さらに主要な通商路が地中海から大西洋に移ったことで、経済的にも困窮するようになった。

マキャベリも公職から追放され、無職となった。その翌年、自身の就活のために書かれたエントリーシートが「君主論」だ。

マキャベリは面会した国王に、こう訴えたのだろう。

「私は混乱したイタリア半島を治めるために、国王のための戦略を立てることが出来ます」

彼の理論は、膨大な史実に裏打ちされている。

歴史上の統治成功例と失敗例から、人臣の心をつかむロジックを抽出している。

エビデンスに立脚したセオリーだ。

豊富な知識から生み出された戦略は、甘い理想論を退け、現実的な「使える統治術」であった。

目の前の危機を速やかに収束させるには、キレイ事なんて言っていられなかったのだ。

そのため「君主論」は本質をついており、現代へ応用可能だ。

エッセンスは以下の通り。

リアリズム

マキャベリは理想にこだわらず、現実的に対応するよう述べている。

クリニック経営戦略も同じだ。

「医者のコダワリ」より「患者のニーズ」を重視するクリニックが繁栄する。

患者が求めるのは、高い臨床能力ではない。

通常の腕と高いコミュ力だ。

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もちろんドクターの自己実現の場として、開業は選択肢となる。

しかし院長の夢は、キャッシュが回ってこそ現実化する。

まず稼げ。

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深い人間洞察

マキャベリはヒトの本質を見抜いていた。

多くの医院経営論には、この点が欠けている。

繁栄のためには、患者の求めをキャッチしなければならない。

「明後日」の方角からニーズが飛んでくる事は、日常茶飯事だ。

「医学的に適応ない」

と無下に検査を断ったら、患者は別のクリニックを受診するだけだ。

言いたい気持ちをぐっとこらえ、とりあえず受け入れて診療を進める医者に、行列ができる。

相手に幻滅するようでは、繁盛しない。

ニーズは憂慮の裏返し。

患者の不安を解消することも、最前線臨床医の仕事だ。

アメとムチ

マキャベリは愛情と恐怖のバランスを取るよう説いた。

最も批判されやすい項目だ。

しかし、時代背景を考えて解釈する必要がある。

現代で「まんま」実践したら、間違いなくハラスメント。

クリニックに必要なのは、福利厚生と就業規則だ。

福利厚生には、充分な給与も含む。

規則の中には、罰則も設けられている。

下手な「理念」はいらない。

安定した保障と規律ある職場でこそ、スタッフはきびきびと働くのだ。

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事業を成功させるべし

マキャベリは外交と戦争について忌憚のない意見を述べている。

当時は戦争が、一大国家事業だった。

他国を支配し、税収を得ることで国が発展した。

一方出費の多い国への侵略は、勧めていない。

コストパフォーマンスを説いているのだ。

今の時代、戦争は許されない。が、

企業戦略への応用は現代でも通用する。

クリニックの事業は、言わずもがな、診療だ。

外交はコミュ力、戦略・戦術は事業展開。

さらに時代に合わせてブラッシュアップさせる必要性は、論を俟たない。

チャンスをモノにすべし

マキャベリは、運命の残酷さに立ち向かう方針も述べている。

運は自分でコントロールできない。

しかし、運命に飲み込まれる君主は、平和なときに準備が出来ていなかった連中だ。

運命はあきらめるのではなく、想定して立ち向かう姿勢が大切。

クリニック経営も同じ。

繁盛していても、競合クリニックが近くに出れば、患者は減る。

斜陽を迎えるのは、漫然とあぐらをかいていた院長だ。

順調なときに次々と策を施し、競合が出現しても撃破するクリニックのみが、生き残る。

運は自分でコントロールできない。

最悪のシナリオ、プランBを立てた上で、自分に出来る最大限のことをやることが、

良い結果をもたらす。

備えあれば憂い無し。

トップの心構え

マキャベリは君主の心構えを、これでもかと説いている。

なまくらな首長は国を滅ぼす。

未熟な院長はクリニックを潰す。

具体的な指針は以下の通りだ。

揺るぎない地位

マキャベリは権力の獲得と維持を重視した。

表だっては語られないが、企業では重要な要素。

クリニックを繁栄させるには、院長の威厳がマストなのだ。

何も「威張れ」とは言っていない。

「君主論」のような非道徳的な手法は論外。

物腰は柔らかく、それでいて危機対応では毅然と。

クレーマー問題は、こちらの記事で論じた。

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行列が出来る診療所には、盤石な経営者がいるのだ。

日本はまだまだ権威主義的であり、トップには威厳が求められる。

エマニュエル・トッドの本は、この傾向はまだまだ続くと教えてくれる。




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「優しいだけの院長」は、なめられる。

扇の要には芯を持たせなければダメなのだ。

新たにトップになった場合

マキャベリは新たな国王に対して、人民の信頼を得ることが、最も大切と説いた。

さらに、新たに君主になったモノのタイプによる統治法を提案している。

クリニック承継も同じだ。

血縁承継はスタッフの信頼を得やすいが、実力が伴わないことがある。

マーケティングや診療能力を上げ、コミュ力を磨くことが最重要課題だ。

腕のない医者は、早晩スタッフと患者から見放される。

第三者承継は、まずスタッフからの信任を得ることが必要。

クリニックの文化を大切にすることが、最重要課題だ。

特に気を付けなければいけないのは、診療所の不文律を変えるときだ。

九分九厘、既存スタッフは反対する。

ゆっくりと変更し、変えた効果を実感させることが重要。

亀の歩みが、兎を追い越す。

悪評は避けよ

マキャベリは、君主が地位を失う程の悪評は避けるよう、進言した。

現代でも十分通用する。

せっかくクリニックが軌道に乗っていても、

たった一つの院長の醜聞で患者は離れて行く。

特に気を付けたいのは、色恋沙汰だ。

クリニックスタッフはほとんどが女性。

院長の不倫などで、従業員のココロは離れて行く。

雰囲気は最悪となり、患者も激減。

経営は成り立たなくなる。

トップは素行に気を配るべし。

吝嗇を避けよ

マキャベリは、君主はケチだという評判を気にするなと述べている。

むしろ、ケチに徹した方が賢明だとまで説いている。

しかし、功を上げた兵士には大いに振る舞えとも。

自らは節約し、従業員には振る舞う。

クリニック経営にそのまま当てはまる。

院長は質素倹約にし、スタッフには福利厚生で充分に振る舞う。

これで恨みを買うことはない。

末永く栄える秘訣だ。

身ぎれいにし、成果を残せ

マキャベリは、大衆はつねに、外見と結果によりヒトを判断すると述べている。

実に深い人間洞察だ。

院長たるモノ、振る舞いは優しく、カラダと衣服は清潔に、キチンと診察し、患者に寄り添う。

スタッフには規律に則って企業統治を行い、充分な報酬を払う。

外見と結果でヒトが判断されることは、古今東西変わらぬ真理だ。

人民からの支持を得よ

マキャベリは、人民からの支持を得ることを最重要課題とした。

クリニックでは、患者からの支持を得ることが最重要課題だ。

患者の信頼が厚い診療所は、競合が来てもびくともしない。

大切なのはコミュ力と通常の診療能力。

いくら強調しても、しすぎることはない。

まとめ

古典には、生き残ってきた理由がある。

「君主論」は1515年の書物と言われている。

ときは1517年の宗教改革前夜、

キリスト教の倫理観に疑問符が呈されていた。

欧州のパラダイムが変わろうとした激動のなか、

人間の本質がむき出しになった、いわば人間1.0の時代だ。

安定で豊かな現代人は、立派な倫理観を纏っている。が、

チョットしたことでモラルは剥がれ落ち、人間1.0が姿を現す。

裸のヒトを御する術を、余すことなく記した書として、

「君主論」は今でも輝きを放つ。

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時代に合わせて読み解くべし。




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