先日、イヤな新聞記事を見た。
とうとう来たか。
日本は世界に冠たる借金大国。返済のためには支出削減がマスト。
医療費もターゲットになっている。
今までは薬価を下げていた。が、クスリ不足を招いており、もう限界だ。
とうとう医者の手技料にまで手を伸ばしてきた。
提言はクリニックが対象だが、勤務医も、うかうかしていられない。
インフレが財布を蝕んでいる。
医者の購買力は下がる
ドクターが高給取りなのは相変わらずだが、
「購買力」に目を向けると確実に低下している。
インフレの進行が医者のフトコロを蝕んでいる。
しかも「働き方改革」で労働時間は頭打ち、残業代が減るコトになるだろう。
さらに診療報酬費減額の提案で、クリニックも安泰ではなくなった。
自由診療中心の所は別だが、開業医は儲からない時代へと突入した。
開業医も勤務医も、節約と資産防衛が急務だ。
まずは節約
「節約」は、言うは易し、行うは難し。
生活レベルを下げるのは痛みを伴う。
やってみると分かるが、本当に頭や胸が痛くなるのだ。
倹約は少しずつ、少しずつ進め、年単位・月単位で慣れてゆく必要がある。
具体的な方法を挙げる。
生活費の把握
ほとんどのヒトは、自分がいくら支払っているか分かっていない。
節約生活の最初に取り組むことで、その後が楽になる。
昔は大変だったが、ここ数年カンタンな家計簿アプリが登場している。
銀行、クレカなどと紐付けでき、支出項目ごとに仕分けることで生活費を簡単に把握できる。
やってみると使途不明金に気付く。その代表がラテマネー。
ラテマネーをなくす
コンビニなどでついでに買うコーヒーやカフェラテ。
「ラテマネー」と言われているが、こいつが馬鹿にならない。
やっかいなのは、数百円程度の支出なので記憶に残らないことだ。
その昔、後輩から資産相談を受け、家計簿アプリを使うようアドバイスした。
後日報告を受けてびっくりした。
ラテマネーが月1万円を越えていたのだ。
彼も驚いたようで、その後は自宅からコーヒー持参で通勤している。
浮いた1万円はNISAへ突っ込み、増えていると話してくれた。
奢侈品のリストラ
節約を進める中で効果を実感したのが、断捨離。
使わなくなったメーカーモノの衣類を、リサイクルショップに持ち込んだ。
二束三文の買値にガッカリして、価値の落ちる商品は買わなくなった。
今は上から下までユニクロ。ユニクロ最高!
また定期購読していたファッション誌とクルマ雑誌も解約した。
節約になると供に余計な広告や記事が目に入らず、欲しくなくなった。
贅沢品のリストラは、今までのムダに気づく事で物欲を断捨離できる。
その他の節約
ネットには「居住費を下げる」「携帯キャリアの見直し」「保険の見直し」が3大固定費節約として挙がっている。
やっていないのでコメント程度になるが、居住費の下げは生活の質を落とす可能性が高く、ストレスフルなドクターには難しいかもしれない。
携帯キャリアの見直しは、取り組んでも良いだろう。
保険の見直しは、医者は高収入ゆえ、慎重に考えた方が良いと思う。
資産防衛
インフレの今、資産が「現金だけ」ではジリ貧だ。
投資を考えたいが今は投資環境も悪く、
増やすのではなく、守ることに重点を置いた方が良い。
現金はインフレに負ける
三菱UFJの定期金利が10年モノで0.2%になったが、インフレは3%を越える。
実質金利は0.2%-3%=マイナス2.7%と、購買力が低下する。
汗水垂らして稼いだカネが、減価してゆく様子を眺めるのはツライ。
今、株には向かい風が吹いている
投資の王道、株。
しかし米国株は高くなりすぎた。
S&P500はPER 20、つまり企業利益20年分の株価だ。
PER 15がちょうど良いと言われている。
株は「安く買って高く売る」が原則。
配当狙いでも、株価が高ければ配当率が下がってしまう。
投資のタイミングとしては、あまりよろしくない。
不動産投資も微妙
こちらも安く買って高い収益性を確保するのが、成功の秘訣。
不動産投資に融資はつきものだが、金利も上昇している。
昔ほどのうまみは、ないだろう。
ゴールドはまだ安全だろう
金は昔から、インフレと有事に強い資産。
世界的なインフレに加え、ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争と、世の中がきな臭い。
金が一番輝く時代になってしまった。
円建ての金価格が最高値を更新している。街で「金買い取ります」の看板を頻繁に目にするわけだ。
1g=1万円を越え、手が出ないように思えるが、金価格はドル建てで判断する必要がある。
現在金は1オンス1,900ドル後半。以前は2,000ドルを超えていた。
ドル建てではまだ上昇の余地がある。
直近のWGCレポートでは中央銀行の購入量が高止まりしている。
各国政府が買った金はほとんど売りに出ず、価格は下支えされる可能性が高い。
それでも価格は上下するため、金現物を積み立てるのがオススメ。
まとめ
いよいよ医療費への締め付けが本格的に始まった。
開業医の未来も暗くなってきた。
家庭も国も、借金を返すためには支出を減らさねばならない。
日本のGDP=収入約500兆円に対して、1,300兆円もの借金をしている状態。
しかも高齢化で医療・介護・年金の支出が増える一方。
診療報酬費引き下げは、必然の流れと言える。
年収500万円の世帯が1,300万円の借金をし、しかも毎年借り入れが増えているような状態。
家計見直しが必要だ。
こう書くと「国と家庭を一緒にするな!」と反論があがる。
確かに国は円を増やせるが、結果として円安によるインフレが進んでいる。
社会保障費を払うために国債を増やせば、強烈な円安でインフレが加速する。
一般家庭は借り入れできなくなるが、国はなまじ借金を続けられるため、かえってやっかいだ。
国民の生活は苦しくなる。
医者も苦しくなる。
行く末を案じるが、いま我々に出来ることは、生活費を下げて身を守ること。
そして、今ある資産を守ることだ。