こんにちは。山のクマです。
「地頭の良さ」「地頭力」とは何でしょう?こちらのサイトでも言及していますが、周りの状況が良く見えていて、判断力に優れる人です。特に答えのない状況で、問題解決を行うときに、地頭力が発揮されます。
地頭がいい人の特徴10選。地頭を鍛える方法&読んでおきたい本を紹介!:Smartlog
では、地頭の良い人は、どのような思考回路をしているのでしょう?先日「エマニュエル・トッドの思考地図」を読んで、わかりました。
エマニュエル・トッドの思考地図→Amazon.co.jp
エマニュエル・トッドさんは、ソビエト連邦の崩壊を予測したりして、「予言者」としても知られている学者・思想家です。非常に地頭が良い。
今回はトッドさんの本をベースに、地頭の良さを解剖してみます。
エマニュエル・トッドの思考構造は
p277に彼の思考から予測への流れがまとまっています。
第一のフェーズはデータ収集です。
データがなければ、論理的思考は出来ません。そのため、トッドさんは十分なデータが出るまで待つと書いています。
第二のフェーズは対比です。
得られたデータと自分自身の経験や歴史と、対比させます。
第三のフェーズは予測です。
この予測が、トッドさん独特のものです。彼はこう書いています。
これは私が芸術的フェーズと呼ぶモノです。ここでは、私の本能、直感、歴史家としての経験を自由に解放させ、いくつかの予測を断行します。もちろん、予測するということは経験主義から出ると言うことです。なにしろ、まだ起きていない出来事について話すのですから。
p 227
第一フェーズ、第二フェーズで論理的に考え、それをベースにロジックを飛び越え、予測・結論にいたる。これが第三フェーズです。
この3つのフェーズを意識することで、答えのない状況での判断力を身につけることが出来ます。これこそ「地頭の良さ」です。
以下でさらに考察して行きます。
第一フェーズ:データ・情報収集
物事を判断するときに、情報収集は欠かせません。しかし問題は、現代は情報量が多すぎること。
メディアには情報があふれています。有益な情報がどれなのか、判別が付かないことが多いモノです。
有益な情報とは、「事実」と「数字」です。第三者が解釈を加えた情報は、少し距離を置いて考えた方が良いです。
なお、「数字」はいくらでも作ることが出来ます。数字の裏に隠れている母集団がどうなのか、感情をあおるような数字の使われ方をしていないか、などを吟味する必要があります。
第二フェーズ:過去との比較
今までの経験や知識を元に、得られた「事実」と「数字」を比べます。
比較するためには、基礎となる知識が必要です。そのためには、読書などの勉強が欠かせません。
内科診断学も、同じルートをたどります。基礎として医学的な知識、思考法が身についていることは、必須です。
時事について考えるときには、歴史を勉強することが大切です。過去に似たような事例があれば、それを元に、ニュース内容を自分で解釈できるようになります。
過去と比較し、論理的思考でデータをつなぐと、全体の構造が見えてきます。
第三フェーズ:予測・結論
第二フェーズまで進んで全体の構造が見えてきたら、今後の対応については、今までの経験を飛び越えて、判断する必要が出てきます。
内科診断学においては、第二フェーズから第三フェーズまでの距離は遠くないことが多いのですが、患者が急変したときや十分なデータがそろわない臨床場面では「とりあえずの結論」を想定して、行動する必要が出てきます。
これは時事問題や難しい経営判断を迫られる場合も同じです。
答えのない中で結論を出したり対応するときには、経験、倫理観、幅広い知識、などがモノを言います。いずれも自らリスクを取るという強い意志が必要です。
まとめ
エマニュエル・トッドさんの思考回路をベースに、地頭の良い人の考え方を見てきました。
なかなかこのような思考回路を身につけるのは、大変です。しかし、一つ一つの行動を意識することで、頭にしみこんでいきます。
一度強い地頭力を得ると、診療、時事問題、投資、と多くの分野に応用できます。
地頭力アップの具体的な方法については、またあらためて考察します。