6月からはさらに電気料金が上がる。
インフレとは現金の購買力が下がること。
家計も大変だが、資産も大変。
資産防衛が必要だ。
代表は株・不動産・ゴールド。
株は今、ダウントレンド。下がりきってから買いたい。
ワタシはゴールドが好きだが、
医者の間では不動産投資が人気だ。
ドクターは不動産の融資が楽に通る。
しかも、インフレは借金している人に笑顔を見せる。
「あなただけが~握っている~その笑顔の~行方を~♪」(笑顔の行方:作詞・吉田美和)
Dreams Come Trueの初期の名曲。
そう、不動産投資はFIREの夢をかなえてくれる。
「センセ~、不動産投資やりましょうよ~」
不動産は妖怪屋敷か?
お金の話をしていると、似たような人びとが酔って、いや寄ってくる。
不動産投資家ともお付き合いがある。
「センセ~、不動産投資やりましょうよ~」
尊敬する投資家ドクターAとBから誘われた。
興味はあるが、診療で忙しい。
入居者トラブルで時間をとられないか心配だ。
ドクターA:「管理会社がほとんどやってくれるから、手間はかからないよ。でも先日は続けて放火があったから、警察から呼び出されて大変だったけどね」
え・・・なんですと??
ドクターA:「放火だよ、放火」
・・・きっと他にもありますよね。
ドクターA:「まあ、たまに家賃滞納や孤独死、夜逃げもあるけど、そんなに多くないから」
家賃滞納・・・孤独死・・・夜逃げ・・・ですか。
ドクターBは店舗物件に投資している。
ドクターB:「2回ほど893案件があったけど、1回目は話し合いで決着付いて、2回目は向こうから出て行ってくれたから、たいしたことないよ」
893案件ですか・・・。しかも対面で話し合いって・・・。
尊敬する先輩方に、僭越ながら一言。
脳がバグってる。
ワタシは、滞納、放火、孤独死、夜逃げ、893の世界に誘われている。
宮部みゆきの「火車」を彷彿とさせる。
火車
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住宅ローン地獄、地の果てまで追ってくる取立て屋、思いあまっての殺人・・・。
ウソだろ・・・、不動産投資はあの世界なのか・・・。
と昨日書いたが、読み直して思った。
開業医も同じだ。
入居者はいないが、モンスターペイシャントはいる。
受付に絡む酔っ払い、大声で看護師を恫喝する マザコン老人 高齢者、医者にねちねちと因縁をつける ババア 中年女性、金を払わない クソババア 高齢女性
なに、たいしたことはない。こんなもんだ。
と昨日書いたが、読み直して思った。自分も
脳がバグってる。
でもこんなもの
不動産投資も開業医もビジネスだ。
トラブルはつきもの。
最初は気が滅入るが、そのうち面白くなる。何故なら
人間の本性がむき出しになるから。
住居と健康は生活のキホン。
トラブルは当然ディープになる。
ヒトの根幹にふれることは、とても興味深いのだ。
不動産投資家は、口には出さないが、トラブルを楽しんでいる。
お誘いを頻繁に受けていると、
滞納、放火、夜逃げが「楽しそう」と思う自分がいる。
脳がバグっているらしい。
お金の話をしていると、似たような人びとが寄って、いや酔ってくるのだ。
彼らは、診療の合間を押して、入居者トラブルにかかわっている。
不動産投資家を尊敬する。
しかし、もっとラクな投資先はないものか。
金は良い子
買って保管するだけ。
保管料は必要だが、何もしなくて酔い、いや、良い。
優等生だ。
唯一の欠点はレバレッジが使えないこと。
金は金利を生まない。
返済に回せる原資を調達できない。
爆速で増やすことが出来ない。
面白くない。あ~、だから不動産投資家はゴールドに目が向かないんだ。
ワタシは目がないんだが・・・。
開業医は時間がない。
買って保管するだけ。
手間暇いらずの優良資産だ。
これで思いっきりモンスターたちと戦えるって、ここはダンジョンか。
しかし金は既に高い。
大丈夫なのか。
金を下支えするモノ
金は下がりにくい。
理由は3つ。
1:産金コスト
ではゴールドは?
現実的には1,500ドルを超えないと、金をマーケットに出すことはない。
短期的には下がるが、産金コストは長期的な下限になる。
実際アメリカのゴールドラッシュの時は、金価格が産金コストより下がり、採掘を辞めている。
産金コストより高いが、下がると、すかさず買いに走る奴らがいる。
中央銀行だ。
2:中央銀行の買い
そりゃそうだ。ロシアがSWIFTから除外された。
ロシアは持っている外貨準備(ドル・ユーロ)が使えない。人民元で取引している。
これを見た各国は、一斉に脱ドルを加速。
外貨準備として金を増やしたのだ。
多くの日本人は気付いていない。
金は通貨だ。
中央銀行は機関投資家と違い、買った金は売らない。
金価格の下支えとなっている。
3:少ない埋蔵量
毎年埋蔵量は減っている。
金採掘業者は、残った金を獲得するため、買収合戦を繰り広げている。
「残りわずかとなっておりま~す」
さらに輪をかけるのが法定通貨の不安定さだ。
法定通貨は薄いカルピス
今時カルピスの原液を薄めているヒトは少ないだろう。
しかしドル・ユーロ・円は薄くなっている。
リーマン・ショック・コロナ・ショックで、FRBはドルを爆刷した。
ユーロと円も同様。
水っぽくて、もはやカルピス、ではなくマネーかどうかも分からない。
薄いカルピスは不味い。
薄くなった法定通貨もマズい。
マネーの働きとは
交換機能、価値保存機能、価値尺度機能だ。
法定通貨はこの3つを備えていなければならない。
しかしインフレが進むと怪しくなる。
明治ミルクチョコレートは、2014年は100円だったが、2023年は130円になった。
ステルス値上げではない。同じモノで値段が違う。
円とチョコは交換できるが「交換機能」はダメージを受けた。
「価値尺度機能」もバグってきた。
2014年に貯金箱に入れた100円では、明治ミルクチョコレートは買えない。
「価値保存機能」も崩壊した。
法定通貨はお金としての性能が劣化している。
しかしマネーの悪化は見えにくい。
コペルニクス的転回が必要だ。
貨幣錯覚
むかしカローラ指数で現金、不動産、金を比較した。
まったく反応がなかった。
みな貨幣錯覚に陥っているのだ。
5%の賃上げで1万円が1万500円になれば嬉しいが、インフレが8%なら、
1万円の時計は1万800円。
購買力は落ちている。しかし気付かない。
コレが貨幣錯覚だ。
カローラを買うのに、
1966年は54.85万円、
2018年は252.72万円。
5倍出さないと、大衆車は買えなくなっている。
50年で1/5になった円の、価値保存機能は低い。
ではゴールドは?
ローマ帝国では高級衣料品が金1トロイオンス、
現代でも高級スーツは27万円で買える。金1トロイオンスだ。
この本が教えてくれた。
お金以前
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2000年の時を越えて金は機能する。
まさにカルピスの原液だ。
「法定通貨の価値」を商品で測ることで、貨幣錯覚から解放される。
さらに世界情勢変化にも注目が必要。
パワーバランスの変化
世界は激変している。
ロシアと中国は人民元で取引をはじめ、
サウジアラビアは人民元で原油を売り始め、
日本ではほとんど報道されず、その重要性を知るヒトは少ない。
最もヤバいのは、ドル基軸通貨の危機だ。
ペトロダラー
別に煽っているわけではない。理由がある。
そもそもなぜドルは基軸通貨なのか。
原油取引にドルを使う代わりに米軍はサウジアラビアを守る。
ペトロダラー:「petroleum(=石油)」と「dollar(=ドル)」を合成した用語だ。
しかし、ペトロダラーの地位は失われつつある。
ウクライナ戦争以降、ロシア、中国、サウジアラビアは人民元で原油の取引をしている。
ロシアがSWIFTから除外されたためだ。
まだ取引額は小さく、ペトロダラーを脅かすまでにはなっていない。
しかし気になるニュースは続く。
グローバルサウス
グローバルサウスには天然資源が多い。
ロシア:原油・金・天然ガス
中国:金・レアアース
中東各国:原油・天然ガス
南米:原油・レアアース・天然ガス
貿易に金・コモディティーをバックにした通貨を作り上げる可能性は大いにある。
その時、ドルは決済機能を低下させ、暴落する。
ドル下落は金高騰を招く。
金が暴落する可能性はあるかい?
さんざん煽ってきた。
では、金が暴落する可能性はあるか。
3つの可能性について、歴史をひもとき、思考実験する。
1:金需要低下
2008年はリーマン・ショックが起き、FRBはドル増刷で乗り切った。
増えたドルは価値を落とす。
第三国は外貨準備としてドルの代わりに金を買い始めた。
ドルが減れば価値が上がるが、
減らしたら、景気が悪化して、また増やす。
2008年から今まで、その繰り返しだ。
ドルを減らすのは不可能。たぶん。
一方、中央銀行が金の売り手に回る可能性も低い。
他の部門はどうだろう。
World Gold Councilが四半期ごとのデータを出している。
指輪やネックレスなどの宝飾需要は、季節性変動はあるものの、一定の買い。
投資用の延べ棒・金貨も、一定の買い。
スマホ基盤などの工業用も、一定の買い。
機関投資家などが利用する金ETFは、売りと買いが交錯する。
つまり金が売られるのは、金融危機で銀行などがドルを必要とするときだ。
コロナ・ショックでは、ほぼ売られなかった。
今後も株価暴落時に金は売られるだろうが、
購買意欲旺盛な中央銀行が下支える。
金需要は低下しない。おそらく。
2:金鉱山の発見
新たな鉱脈が見つかると、金は下がる。
銀も同じだ。
スペイン・ポルトガルが南米を征服した後、銀鉱山が見つかった。
これから新たな金鉱脈は見つかるか。
地上は望み薄だ。
産金コストは今後とも上昇する。
金高騰の後に、新たな鉱脈に手が着けられる。おそらく。
3:共同幻想の消失
「円が価値を持つ」のは皆が「円は価値を持つ」と思っているから。
インフレが急進すると、人びとは急いで円を手放し、商品や他の資産を手に入れる。
「円が価値を持つ」という共同幻想が壊れるからだ。
ゴールドも円と同じ共同幻想だ。しかし、
金は魔性の輝きと重みを持つ。
一度、金貨や延べ棒を手にしてみると良い。
その重さと輝きに心を奪われるだろう。
「これが真の価値だ」
「投資で痛い目に遭ったヒトほど、金の重みを感じる」とは、第一人者である豊島逸夫の弁。
よーくわかる。何度痛い目に遭ったことか・・・。
五感に価値を訴えるゴールドは、
共同幻想から覚めることはない。おそらく。
まとめ
インフレは続くよ、どこまでも。
「線路は続くよどこまでも」が米国の民謡だということを初めて知ったが、
第三国のドル離れは顕著。
過去の研究では、政府の借金が払えないくらい大きくなると、
海外勢が保有している国債はデフォルトする。
国内勢が保有している国債はインフレでチャラにする。
この本が教えてくれた。
国家は破綻する
→Amazon.co.jp
日本はこのまま、ずるずるとインフレが進行するだろう。
ドルはどうか?
米国の基軸通貨としての地位は、しばらく続くだろう。
流石にデフォルトはない。
歴史は繰り返す。ドル切り下げは可能性ある。
ユーロも同じ穴のムジナ。
法定通貨はどこも危ない。
「資産は預金だけ」の医者は、悲惨な目に遭うだろう。
ドクターよ、今こそ無国籍通貨の金を買え。