診療所経営

【クリニック集患・増患】ポーターの競争戦略を使いこなす!

【クリニック集患・増患】ポーターの競争戦略を使いこなす!
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こんにちは、山のクマです。

クリニックも一企業ですから、

利益を確保するために様々な戦略を考えます。

でも、なかなか使える戦略って無いんですよ。

唯一使えたのが、ランチェスターです。

診療所集患・増刊対策:ランチェスター戦略を用いて
診療所集患・増刊対策:ランチェスター戦略を用いてこんにちは、山のクマです。 今までの記事で集患・増刊対策を書いてきましたが、いずれもランチェスター戦略に従った戦術です。 ラ...

しかし関連本を読んで、

マイケル・ポーターの競争戦略も使えることがわかりました。




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今回はポーターのフレームワークを用いて、

クリニックの競争戦略を考えます。

ポーターの競争戦略とは?

一言で言うと「しっかり利益を出すための方法」です。

実にシンプル。でも奥が深いです。

ポーターはまず、各業界の収益構造に着目します。

業種によって利益率はかなり違うんですね。

こちらのサイトを見ると一目瞭然。

1.5%~10.29%と大きな差があります。

従って業界ごとの収益構造を把握することが、とても重要になります。

クリニックの収益構造は?

「科学的な根拠に基づいた医療サービスを提供して報酬を得る」

これが診療所のビジネスモデルです。

医療サービスはたくさんありますが、

法令・ルールに基づいて行っている点が、大きなポイントです。

診断、処方、手術などは医者しか出来ません。

これが新規参入への大きな障壁となっています。

診療圏は半径1キロ未満~数十キロと地域・診療科によって幅はありますが、

決して広くはありません。

利益を上げるには?

「価格-コスト=利益」

この単純な式が全てです。

・価格を上げる・コストを下げる・両方やる

3つしか選択肢はありません。

ポーターは価格とコストに影響を与える要因を5つ挙げています。

今回は保険診療について、5つプラス1について考えます。

価格低下要因

代替品、医者以外の参入の脅威、患者さんの力、政府の力が関連します。

代替品:ほぼない

サプリやOTC医薬品、マッサージや接骨院などが代替品となりますが、

価格低下にはつながりません。

医者以外の参入の脅威:きわめて少ない

国家資格という障壁は強いです。

同じ国家資格でも司法試験合格者は増えていますが、

医師国家試験の合格者数は増えていません。

患者さんの力:実は強い

保険診療という同一料金下では、患者さんの圧力はないように見えますが、

実は結構あるのです。

それは、処方日数を伸ばして欲しいという要望です。

デフレの影響や老後資金問題などが背景にあるのでしょう。

政府の力:最強

ポーターは、実は6つ目の要因として政府を挙げています。

医療業界にとって政府の力は強く、

診療報酬費は減少傾向にあります。

理由はもちろん高齢化に伴う医療費増加です。

一方生産人口の減少からGDPは増えていません。

これでは一人あたりの医療費は下がる一方です。

皆保険制度の維持は政府にとって最重要課題でしょうから、

この流れは続くでしょう。

コスト上昇要因

医療機器メーカーの力、既存医院同士の競争、スタッフの力が関連します。

医療機器メーカーの力:強いがDXが今後変えるかも

本当に医療機械は高いです。値引きはしてくれますが、そもそも定価がバカみたいに高い。

これは明らかにコストアップです。

しかしDX(デジタルトランスフォーメーション)が今後この構図を破壊するかもしれません。

既に医療現場に入り込んでいるのが、電子カルテ、画像サーバです。

電子カルテはお金を生まない設備なので、なるべく安くしたいところです。

ダイナミクスというWindows Accessをベースにした電子カルテもあり、

導入・保守がやや大変ですが、とても安価な設定です。

またApple Watchの心電計が医療機器として承認されました

特に不整脈に対する強力なツールとなります。

今までは不整脈をとらえるのに、ホルター型心電図や植込み型心電図しかありませんでした。

ホルターでは24時間の心電図しかとれず、

植込み型心電計では外科的処置が必要なため、

発作的に起こる不整脈をとらえることが難しかったのです。

Apple Watchは常に身につけるデバイスのため、

自覚症状があるときにすぐ記録できます。

既にいくつか、Apple Watch外来を掲げている施設があります。

ニューハート・ワタナベ国際病院

小川聡クリニック

橘医院

はやかわ循環器内科クリニック

既存医院同士の競争:実は変化ない

次々と新しいクリニックが立ち上がっているように見えますが、

全国を俯瞰すると競争は激しくありません。

高齢化により患者・開業医とも年齢が上昇しています。

そのため廃院数も増えているのです。

日経ヘルスケア2021年11月号の記事によると、開業医の半数以上が60歳以上です。

さらにコロナ禍による減収が、追い打ちをかけました

クリニックの総数は変わらないか、減少する可能性が高いです。

ただ大都市は競争が激しく、地方は無風状態という格差があります。

「どこで開業するか」が大きなポイントになります。

スタッフの力:看護師が強い

人材不足はどのクリニックにとっても頭の痛い問題です。

特に看護師は売り手市場です。

優秀な看護師を雇っておくには、

給与を含めた福利厚生を整えなければなりません。

これはコストアップにつながります。

クリニックの収益性を高めるには?

価格とコストを考えてゆきます。

価格を考える

保険診療は一律の点数です。

しかし「価格をいじりようがない」と考えるのは間違いです。

いま患者さんは、無意識にコストパフォーマンスを求めています。

どういうことか?

同じ医療費を払うなら、

・腕が良い方が良い
・対応が良い方が良い
・長く処方してもらえる方が良い
・検査結果を丁寧に説明してもらえる方が良い
・一カ所でなるべく多くの事を済ませたい
・待ち時間が短い方が良い

これ、全てコストパフォーマンスです。

保険診療で値段を上げることが出来ないため、ココが勝負となってきます。

コストを考える

医療機械・消耗品の値引き、人件費の抑制、テナント代の抑制が一般的な考え方です。

でもそれだけではありません。

・新規患者獲得のコスト
・新規スタッフ採用のコスト
・突然の医療機械故障によるコスト

などなど。

目に見えないコストも意識する必要があります。

まとめ

様々な開業医と話していても、

きちんと戦略を立てて経営しているヒトはほとんどいません。

「自分の考える医療をやっていれば何とかなると」考えています。

しかし実際はそれほど甘くなく、勝ち負けがはっきりします。

繁栄しているクリニックは患者ニーズに応えており、

それが「コスパ優秀」と患者さんに写り、利益につながっています。

ポーターの競争戦略は利益を生む要因を網羅しており、

クリニック経営に大いに役立つと感じました。

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