医者「自分の医療をやるために開業する!患者来ると思いますよ!」
・・・3年後・・・
看護師「センセ、今日も10人ですけど・・・・」
院長「うーむ・・・なんでだろう?」
前提が間違ってます。
こんにちは、山のクマです。
開業前のドクターと話すと、こんな感じなんです。
みんな肝心なことを忘れている。
クリニックの善し悪しを決めるのは患者である。
「事業は何かを決めるのは顧客である」とはピーター・ドラッガーのコトバ。
大御所がすでに喝破しちゃってるんです。
良いクリニックに患者は集まります。
じゃあ、患者にとって良いクリニックって、なに?
はやい、うまい、やすい
「お前のクリニックは吉野家か?」
ウチに来たことないのに、偉そうにツッコまないでいただきたい。来てね♥。
いずれにせよ、客が来なけりゃ、はじまらない。
「はやい」は、待ち時間の短さ、診察時間の短さ
待ち時間を短くするのは大事。
そのため、待ち時間に採血、検査、予診を行うなど、患者に時間を感じさせない工夫が必要。
でも、診察時間も短い方が良いの?
昔はお年寄りがあーでもない、こーでもないと、話していましたが、
今は、診察が終わるとサッサと帰って行きます。
コンビニで慣れちゃったんですね。こっちはラク。
大切なコトを言います。「診察時間が短い=待ち時間が短い」。
「でも、相談には乗って欲しい」
ホント、わがままです。どうするか?
聴くべき時は身を乗り出して聴く。シッカリ。
そうでないときはアッサリ。
大事なのはメリハリ。
「うまい」は医者のウデ
「あそこに行ったんだけど、血圧下がんなくって」
ようこそ当院へ!なんぼでも下げますよ~。
やっぱり、患者は腕が良いドクターに集まります。
もっとも大切なのは患者対応力=「コミュ力」。
コミュ力は開業医の「きほんのき」。
ないなら勤務医の方が良いかも。
患者のニーズはさまざま。
診察して欲しいヒト、して欲しくないヒト(なんで来たんだ?)。
検査をやりたいヒト、やりたくないヒト(なんで来たんだ?)。
薬が欲しいヒト、いらないヒト(なんで来たんだ?)。
医者の言うことを聞くヒト、聞かないヒト(なんで来たんだ?)。
コミュ力で相手のニーズを探って対応すると、
お得意様になってくれます。
「やすい」は医療費
「いやいや、保険診療は一緒でしょう」
頭を切り換えましょう。
いまどきの患者は お金がない 節約上手。
とにかく長期処方を希望します。
1ヶ月処方なんて、もはや絶滅危惧種。
安くするため、ジェネリックは当たり前、診察回数も少なくしたい。
ジェネリックはイイけど、診察には来てよ。
これでリフィル処方箋が出た日にゃ、泣きます。
対策は、ない。あーあ。
でもね、長期処方を断ると、来なくなっちゃう。他でもらうって。
「長期ですか、わかりました~」と、顔で笑って心で泣いて、リピートしてもらいます。
そして「うまい」で患者を集めるんです。
「自分の医療」はどこにある?
医療って、患者に診察・処置・治療・手術などをするコトじゃないですか。
「自分の医療」って「ない」んですよ。
「ある」のは患者の医療だけ。
では医者のやりがいはどうする?
得意分野の患者を集め、ウデを発揮する。
マーケティングです!
医者の「うまい」を伝えるんです。「得意なこと」を伝えるんです。
ただ、医療法で広告できる内容は決められています。
医者が伝えることは出来ない。
ココは口コミの出番。患者に評判を広めてもらう。
「早期癌を見つけてくれた」「血圧が下がった」「頭痛がなくなった」
患者が患者を連れてきます。
そして、診療の中に「自己満足的な部分」を見つけるんです。
「今日の内視鏡は上手くいった」「おお、原発性アルドステロン症か!」「やっぱりくも膜下出血だったか、当たったぜ」
患者には言いません。あくまでドクターの自己満足です。
これが医者のやりがい。患者からの感謝があれば、喜び倍増!
また患者が患者を連れてきて、
流行るクリニックの出来上がり。
クリニックは「総合格闘技」
勤務医の時には、診療「だけ」やっていれば良い。
それが医者の幸せ。
でも 年をとると 出世をすると、雑務が増える。
「雑務がイヤだから開業」は、キケン。
開業医は、診療、スタッフ管理、経営、役所とのやりとりなど、全部やらなければならない。
大半が「雑務」です。
でも、逆に考えると、診療トップである必要はない。
問われるのはトータルのチカラ。総合格闘技。
名医でなくとも、行列が出来るクリニックは作れます。