こんにちは、山のクマです。
当院では、病気説明の患者さん向けパンフレットを作成しています。
以前は製薬メーカーや日本臨床内科学会で配布していましたが、最近はもらえなくなりました。そのため、自前で作ることにしました。
今回の記事では、パンフレットの作り方、配布の方法について説明します。必要なのはパワーポイントとプリンター、コピー用紙のみです。
実はこれ、集患・増患対策も兼ねています。
パンフレットの作成法
パワーポイントのスライドサイズはA4横としてください。
1枚目のスライドの、真ん中に縦の破線を引きます。左側がページ4、右側がページ1とします。
ページ1のトップに表題をつけ、下の方に本文とそれに合うようなイラストを挿入します。イラストはこちらのサイトをよく使います。
2枚目のスライドにも同じように縦の破線を引き、左側がページ2、右側がページ3です。本文、イラストをバランス良く配置します。
こちらのようになります。
印刷は両面印刷として、短辺を綴じるように設定します。
出来上がったパンフレットは、真ん中から折ると、A5の4ページとなります。
これでできあがりです。
今まで作った患者向けパンフレット
合計10種類、作っています。
高血圧症
高血圧症は、指導するポイントが多い生活習慣病です。
パンフレットでは、
・減塩
・運動指導
・禁煙指導
・内服の徹底
などを書いています。
パンフレットにまとめておくと、外来で指導忘れをなくすことが出来るというメリットもあります。
患者さんからの質問で多い
・血圧の薬のこと
・薬はずっと飲まなければならないか
・高血圧症の自覚症状
・家庭血圧測定の方法
なども盛り込んでいます。
糖尿病
糖尿病は典型的な生活習慣病ですので、書くことは多い。
・食事指導
・運動指導
・初期には自覚症状がないこと
・症状が進むとやせてくること
・合併症について
と言った点を記載しています。早期発見、早期治療が大切ですので、その点は強調しました。
痛風・高尿酸血症
患者さんが、年々増えている印象です。患者さんも痛いときには通院するのですが、痛みがとれると通わなくなります。
従って
・痛みがなくても通うこと
・薬は年単位で飲み続けること
・生活習慣の改善が大切なこと
などに紙面を割いています。
インフルエンザ
毎年流行るため、パンフレットを作っておくと、説明が楽です。
・症状
・対処方法
・薬について
・学校を休む期間
・肺炎や脳症について
といった話題を載せています。
感染性胃腸炎
これも決まったように毎年流行ります。
・クスリより支持療法が主体であること
・水分・栄養補給について
・感染予防について
・吐物処理の次亜塩素ナトリウム消毒液の作り方
などを記載しています。
脳卒中
脳卒中は気づくのが遅かったり、救急車を呼ぶことを躊躇して、治療が遅くなるケースが多く見られます。
脳梗塞でt-PAが使える時間は、発症後3~4.5時間です。
従って、
・脳卒中の症状
・症状がみられたら、すぐに救急車を呼ぶこと
・消防署との電話でのやりとり方法
・脳卒中の予防
を載せています。
フレイル・寝たきり
これからの高齢化社会で、フレイル・寝たきりは大きな社会問題になってきます。
・寝たきりになる疾患とその予防
・フレイルについて
寝たきりもフレイルも予防が第一ですので、生活習慣の改善点について説明しています。
睡眠指導
外来で「寝られないので睡眠薬を下さい」という人は非常に多い。
しかし睡眠導入剤による持ち越し効果から、ふらつき、転倒を起しやすくなります。
高齢者の転倒は大腿骨や椎体の骨折につながり、寝たきりの原因となります。
そのため、外来で睡眠指導を行うためにパンフレットを作りました。
・睡眠は生活の一部であること
・生活習慣の改善が不眠改善に効果あること
・生活習慣改善のポイント
・ただし、うつ状態や睡眠時無呼吸症候群を見逃さないように
などのポイントを説明しています。
このパンフレットを作ってから、睡眠指導が楽になりました。
参考にしたのはこちらの本です。
寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本→Amazon.co.jp
メタボリック症候群対策
ダイエットについて書いていますが、減量するのではなく、病気にならない身体を作るように、という趣旨にしています。
・やせていても脂質や耐糖能が悪い人がいること
・太めでも検診で引っかからなければ、あまり問題ないこと、
・もし減量が必要であれば、食事制限と運動が必要であること
などを記載し、その後減量についての大原則を買いています。
ただ、これを読んだからと言って、全員やせられるわけではないですけどね。
家庭血圧記載用
こちらは、必要に迫られて作りました。血圧手帳はまだ製薬メーカーからもいただけるのですが、どうしてもマス目が小さい。
高齢者は小さな四角に書くことが出来ないため、大きな枠で作りました。こんな感じです。
なかなか好評で、毎回このパンフレットを持っていく人もいます。
パンフレットをどのように配布するか?
作ったパンフレットを患者さんに渡す機会は、おもに3つです。
診察時に使って渡す
高血圧や高コレステロール血症等の生活習慣指導に使って、そのまま渡します。
また不眠の人や、家庭血圧測定の指導時にも、外来中にパンフレットを見せながら説明し、渡します。
待合室に置いておく
パンフレットラックを待合室において、各種数部ずつそろえ、自由に持っていってもらいます。
当院で使っているラックはもう生産していないようなので、似たようなものを載せておきます。
雑誌とパンフレットスタンド→Amazon.co.jp
ただ、今はコロナ禍なので、撤去しています。
院外で渡す
学校医や産業医で講演するときには、そのまま関連するパンフレットを渡します。講演の時に使うスライドも、このパンフレットをもとに作成するので、短時間で出来上がります。
余談ですが、知り合いに民生委員をしている看護師さんがいて、その方が指導に使いたいというので、渡しています。
まとめ:実は集患・増患対策になっている
以上のように患者さんに役立ててもらうよう、パンフレットを作りました。しかしこれ、隠れた集患・増患対策になっています。
・パンフレットに自院の名前を入れることで、宣伝効果になる
・自由に持っていってもらうことで家族などに渡り、それを見た人が当院に来てくれる事も期待できる
・良い口コミも作ることが出来る
作成費用はA4コピー用紙とインク代だけです。かなりコストパフォーマンスがよい宣伝媒体と考えます。
患者さん向けパンフレットは、作るまでは大変ですが、一度作ってしまえばガイドライン改定まで手間がかかりません。
よろしければ、参考にしてください。
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